持株比率など関係濃い会社の再就職は手当制限か【平成15年:事例研究より】

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このたび採用した社員が再就職手当を申請するときに、本人が勤めていた前の会社との関連について、当社の証明が求められました。

これは、必ず提出しなければならないのでしょうか。

持株比率が一定以上など、関係が濃密なときは、手当が出ないケ−スもありますか。

【高知 E社】

求職活動期間中の収入を保障するために、雇用保険から基本手当が支給されますが、所定給付日数の3分の1以上、かつ45日以上を残して就職が決まった場合、再就職手当等が支給されます。

本人の熱心な求職活動に報いる趣旨ですが、離職企業と再就職企業とが共謀して不正受給を企てる可能性も否定できません。

そこで、仮に次に掲げるような事実があれば、不正受給の意思の有無に関係なく、手当の支給対象外とする規定を設けています(雇用保険法施行規則第82条)。

・離職前の事業主に再び雇用された場合 ・求職申し込みをする前に、雇入れを約した事業主があり、当該事業主に雇用された場合 離職前の事業主については、関連事業主(資本、資金、人事、取引等の状況からみて離職前の事業主と密接な関係にある他の事業主をいう)を含むと解されています。

このため、再就職手当支給申請書の事業主証明欄には、雇入れ年月日のほか採用内定年月日を記入する欄がありますし、離職前事業主との関連について別に証明書を出さなければなりません。

本人の自由な求職活動の結果として決まった就職先が、たまたま離職前会社と密接な資本関係にあるというケースもあるでしょう。

しかし、貴社が離職前事業主と連絡を取り合っていなかったとしても、偽りの事実を証明した(または事実を申告しない)場合、連帯責任を問われる恐れもあるので、注意が必要です。

【平成15年:事例研究より】