雇用契約書の必要性と作り方(雛形)

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なぜ雇用契約書の作成が必要か

契約は、当事者の一方からの申込みを相手方が承諾し、双方の意思表示が合致することで成立するものとされています。

そのため、意思表示の合致があれば書面がなくても契約は原則として有効ですが(諾成主義)、いくつかの種類の契約においては契約書など一定の様式がないと有効に成立しないとされるものがあります(要式主義)。

雇用契約(労働契約)は民法に規定されている「典型契約」の一つで、民法上は様式を必要とされていませんが、労働基準法第15条および労働基準法施行規則第5条により、使用者には一定の労働条件を明示した書面の交付が義務付けられています。

労使間でこれらの内容を定め、合意に至ったことを相互で確認した証しとして取り交わすのが、いわゆる雇用契約書(労働契約書)です。

労働基準法上明示が必要とされている労働条件を記載した文書は、労働条件通知書と呼ばれます。
使用者が労働者に対し一方的に通知するものなので、契約書ではありません。

雇用契約書は、労使双方が署名捺印を行います。
また、労働条件通知書を兼ねた雇用契約書もあります。

雇用契約書に明記されていない労働条件は、原則として就業規則に定められた労働条件によることになり(労働契約法第7条)、就業規則と異なる条件を付す場合には雇用契約書等で明示する必要が出てきます。

ただし、就業規則に達しない労働条件を定める労働契約(雇用契約)は、その部分については無効となります(同12条)。

多くの企業では採用直後に試用期間を設けていますが、その場合でも採用時に雇用契約は必要で、法律上使用者は労働条件通知書等で労働条件を明示しなければなりません。
本採用時に労働条件が変わる場合は、その旨を明示の必要性が生じてきます。

適切な雇用契約書とは

労働条件の内容は雇用契約書の中でも重要な位置を占めますが、労働基準法施行規則第5条で明示が義務付けられている労働条件のうち、必ず定めなければならないのは、以下の通りです。

雇用契約書に定めなければならない労働条件
  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  3. 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
  4. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務における就業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期、ならびに昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

これらの事項は、⑤にある「昇給に関する事項」を除き、雇用契約書あるいは労働条件通知書といった書面によって明示される必要があります。

雇用契約書には法令等で定められた書式・様式はありませんが、雛形やテンプレートが数多く出されており、無料で使えるものもあります。厚生労働省が推奨する労働条件通知書の見本も出されています。

雇用契約書にに使えるテンプレート
  1. 労働基準法関係主要様式 厚生労働省
  2. 雇用契約書の雛形一覧 【書式の王様】

労働者がパートタイマーの場合、文書による労働条件の提示が必要な項目として上記に挙げたものの他に「昇給の有無」「退職金の有無」「賞与の有無」が加わります(パートタイム労働法6条)。

記載すべき項目が多くなっているので、雇用契約書の雛型も正社員のものとは別に作成するのが望ましいと考えられます。
ートタイマーとアルバイト兼用のテンプレートも出されています。

参考文献
  • 「そのまま使える契約書式文例集」(かんき出版刊) 他

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