社員が退職したときの賃金支払「7日以内」に休日含むか【平成16年:事例研究より】

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従業員が退職した場合、労基法では「7日以内に賃金を支払い」とあり(労基法第23条)、退職日から7日以内に賃金を支払わなければならないようになっていますが、この「7日以内」とは、土・日曜や祝日の休日があれば、その休日を除いて労働日だけを数えて7日以内というのでしょうか。

休日を含めた暦日の7日をいうのでしょうか。

【山口・T社】

労働者が死亡または退職した場合、権利者から請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません(労基法第23条)。

労働者が退職した場合、賃金その他労働者の権利に属する金品を迅速に返還させないと、労働者の足留策に利用されることもあり、また退職労働者または死亡労働者の遺族の生活を窮迫させることになりかねないため、請求が立った日から7日以内に返還すべきことを規定しているものです。

賃金の支払いについては、労基法第24条は毎月払い、一定期日払いの原則を規定しており、その支払日が到来するまで賃金を支払わなくてもよいのですが、この特例として労基法第23条は、労働者の退職または死亡の場合には、権利者から請求があれば、7日以内に支払うことを使用者に義務づけているものです。

したがって、就業規則において労働者の退職、死亡の場合の賃金支払期日を通常の支払日と別に規定している場合や、そのような定めがなく、慣例として通常の賃金支払日に支払うことになっている場合にも、権利者から請求があれば7日以内に支払わなければなりません。

この「7日以内」とは、退職日から7日以内ではなく、請求があった日から7日以内です。

権利者とは、労働者が退職した場合にはその労働者本人であり、労働者が死亡した場合にはその労働者の遺産相続人であって、「一般債権者は含まない」(昭22・9・13基発第17号)とされています。

労働者の退職とは、労働者の自己退職のみではなく、契約期間の満了による自然退職、使用者の都合による解雇など労働関係が終了した場合のすべてをいいます。

退職労働者から請求のない場合は、通常の賃金支払日に支払うことで差し支えありませんが、請求があった場合には7日以内に支払わなければなりません。

この7日以内とは暦日の7日をいい、土・日曜日、祝日などの会社休日を含めた7日以内です。

その間に休日があっても延長されません。

なお、退職金も就業規則などによって支給条件が明確なものは賃金で、労基法第23条の適用はありますが、通常の賃金と異なり「予め就業規則等で定められた支給期日に支払えば足りるものである」(昭26・12・27基収第5483号、昭63・3・14基発第150号)とされています。

もし、支払期日の定めのない場合には、請求後7日以内に支払うべきことになります。

【平成16年:事例研究より】