就業規則で退職金支給を退職日から1ヵ月以内としているが、支払日の特定か必要か【平成4年:事例研究より】

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当社の就業規則(退職金規定)では、退職金の支払い時期について「退職日から1ヵ月以内に支払う」と規定されています。

1ヵ月以内の支払いでもよいということですが、いつ支払われるのか支給日が不明です。

たとえば、「退職日から1ヵ月以内の賃金支払日に支払う」などとして、退職金の支払い日を特定しておくべきでないでしょうか。

この点について教えてください。

【和歌山・M社】

就業規則の記載事項として、「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」(労基法第89条第1項第3号の2)が定められています。

退職手当(退職金)を有する会社では、必ず就業規則中に最低限、1.適用労働者の範囲、2.退職金の決定、計算および支払の方法、3.退職金の支払時期について明文化しておかなければなりません。

なお、この場合、就業規則本則とは別に、退職金規定の別規則化も可能とされています。

「適用される労働者の範囲」とは、退職金制度の適用対象労働者の範囲のことで、たとえば日々雇い入れられる者や臨時に期間を定めて雇い入れられる者が除かれているならば、その旨を規定します。

「退職金の決定、計算および支払いの方法」とは、たとえば勤続年数、退職事由等の退職金額決定のための要素、退職金額の算定方法、一時金で支払うか年金で支払うか、また選択が可能であるか等の支払い方法をいいます。

また、退職金について不支給事由、減額事由を設ける場合には、これは退職金の決定および計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。

「退職金の支払いの時期」としては、たとえば「退職後2ヵ月以内に支払う」等と明確に規定します。

必ず退職金の支払い時期を明確にしておく必要がありますが、支払い日を特定する必要はありません。

いつまでに支払うか、支払い期日が明確にされていれば差し支えありません。

退職金も、あらかじめ支給条件が明確なものは、労基法第11条の賃金ですが、通常の賃金と異なり、退職前は単なる期待権に過ぎず(退職事由によっては支給されないこともある)、毎月払いの原則、一定期日払いの原則は適用されません。

また、退職金制度を設けるか否かも当事者の任意ですし、退職金制度を設ける場合、その内容(支給条件、支払い時期など)をどのように定めるかは自由であり、年金払いや分割払いの退職金制度を設けることも自由です。

したがって、退職後一定期間経過後に支払うものであっても違法といえません。

行政解釈は、「退職手当は、通常の賃金と異なり、予め就業規則等で定められた支払い時期に支払えば足りるものである」(昭26・12・27基収第5483号、昭63・ 3 ・14基発第150号)、支払い時期の記載の程度として「確定日とする必要はないが、いつまでに支払うかについて明確にしておく必要がある」(昭63・ 3 ・14基発第150号)としています。

退職金の支払い時期については、貴社の規定のように、「退職日から1ヵ月以内に支払う」という定めでもよく、退職日から1ヵ月以内と、いつまで支払うか支払いの終期が明確にされているわけですから、その終期までに退職金を支払えば足りるわけです。

退職金の支払い日を確定する必要はありませんが、いつまでに支払うか明確にしておけばよいわけです。

【平成4年:事例研究より】

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