高額療養費の算式が変わったが、いくらから対象になるか【平成16年:事例研究より】

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平成15年4月から、高額療養費の算式が変わりましたが、これが給付に影響を及ぼしますか。

高額療養費は、医療費総額がいくら以上になったら、もらえると考えたらよいのでしょうか。

【長野・S社労士】

高額療養費の算式は、ご指摘のとおり平成14年10月に改正された後、15年4月にもう一度変更されています(表)。

14年10月は、健保法改正で高額療養費の算定基準額が引き上げられたのに伴う措置、15年4月は、自己負担割合が2割から3割にアップしたのに合わせて行われた改定です。

一般の被保険者を例に取り、改正前と改正後を比較しましょう。

高額療養費の算定基準額は、定額部分と1%の定率部分に分かれます。

定額部分は、改正前と後で変わらず、7万2,300円となっています。

一方、定率部分の算式は、かかった医療費から差し引く金額が異なります。

改訂前は36万1,500円、改定後は24万1,000円です。

これはどういう意味かというと、36万1,500円の2割(4月以前の自己負担率)が7万2,300円、24万1,000円の3割(4月以降の自己負担率)も同じく7万2,300円になるということです。

つまり、自己負担額が7万2,300円を超えた分について、1%の定率負担が求められるわけです。

高額療養費は、自己負担額が7万2,300円を超えた場合、超えた分の1%(定率負担)を除いた残りが支給されます。

ですから、従来は、かかった医療費が36万1,500円を超えるか否かが高額療養費が払われる目安だったわけですが、改正後は、そのボーダーが24万1,000円に下がったことになります。

なんだか、得したような気がしますが、実はそうではありません。

自己負担割合が高くなったので、病院の窓口で払う額が、従来より早く定額負担の水準に達するようになっただけの話です。

適用対象範囲は広がりましたが、被保険者に有利に改定されたわけではありません。

【平成16年:事例研究より】