高収入の年俸社員、12分割方式への移行で不利益あるか【平成16年:事例研究より】

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当社は、年俸制を採っていますが、これまで年俸を16分割して、賞与分として16分の2ずつ払っていました。

総報酬制がスタートしたので、12分割方式への移行を検討していますが、何か不利益が考えられますか。

【東京・I社】

総報酬制導入以前は、12分割方式を採ると標準報酬月額が高くなり、結果として保険料総額が増えるという問題がありました。

しかし、月給とボーナスともに、同じ料率の保険料が徴収されるようになると、月給制の名残りのような賞与時払いの仕組みを温存する必要性は薄れます。

基本的には、従来の16分割方式を採ろうが、総報酬制のもとでは、支払う保険料のトータルは等しくなります。

ただし、標準報酬月額には、健康保険で98万円、厚生年金で62万円という上限があります。

これまでと同じように、16分の2を賞与時に支払っていると、その金額は保険料の対象になります。

ところが、12分割にして、その結果、月々の支払額が標準報酬月額の上限を超えると、超えた分には保険料は掛かりません。

ですから、相当高収入の年俸制社員に関しては、むしろ12分割方式を採用した方が得なケースもあるでしょう。

標準賞与額にも上限かおる(健康保険200万円、厚生年金150万円)ので、その影響も検討を要します。

もちろん、保険料の低減を目的に、賞与・月給の配分を変えるなど、本来的には好ましいことではありません。

保険料は将来の年金給付等にも影響するので、年俸制の趣旨徹底という目的も踏まえ、総合的な判断が求められます。

【平成16年:事例研究より】