総報酬制で保険料同じになると、賞与を区別する意義はなくなるのか【平成16年:事例研究より】

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総報酬制がスタートし、賞与にも月給と同じ保険料が課せられるようになりました。

そういう意味では、今後、月給と賞与を区別する現実的な意味がなくなる気もするのですが、いかがでしょうか。

【北海道・R社】

平成15年4月以降、月給、賞与、どちらに課せられる保険料も、一般保険.料と称され、区別がなくなりました。

しかし、実務的には、両者を分けて考える必要があります。

総報酬制といっても、年収トータルに保険料率をかけて、保険料を計算するわけではありません。

従来どおり、標準報酬月額を使って毎月の保険料を算定する一方で、標準賞与額にも同じ保険料率を適用するというだけの話です。

労働保険(労災保険、雇用保険)と社会保険(健康保険、厚生年金保険)の徴収一元化は、平成15年10月に実現しました。

しかし、徴収の窓口が統一(社会保険事務所内設置の社会保険・労働保険徴収事務センター)されても、両保険の計算方法の違いは残ります。

労働保険は実際に払われた賃金が算定基礎ですが、健保・厚年では標準報酬・賞与という概念が使われるのです。

ですから、賞与、一時金、期末手当などのように名称の如何にかかわらず、3月を超える期間ごとに支払われるか否かを基準に、健保法に定める賞与に該当するか、賃金に含まれるかを、厳密に判断する必要があります。

早い話が、支払い回数が年3回以下なら賞与、4回以上なら賃金になるということです。

社内的に賞与という名称を用いても、年4回以上支給する規定なら、従来どおり、その総額を12等分したものを、報酬に加える必要があります。

具体的には、「7月1日前の1年問に支給された賞与の平均月額」報酬に足し合わせる形をとります。

総報酬制が導入されたからといって、今後は、年4回以上の賞与を、賞与として別処理するわけではありません。

会社が払ったお金が賃金・賞与のどちらに分類されるかによって、給付内容にも差が生じます。

【平成16年:事例研究より】