業務災害で休業中の社員の保険料は会社負担か【平成15年:事例研究より】

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労災事故により休業中の者がいます。

その者の社会保険料(健保、厚年)は、事業主負担分と被保険者負担分とをあわせて会社が納めました。

あと1ヵ月ほどの休業が必要ですが、この被保険者負担分の保険料(約2ヵ月)は、業務災害のため会社負担となるのでしょうか。

【大分 O社】

健康保険(厚生年金も同様)では、報酬の支払いの有無に関係なく、被保険者である限り保険料を納めなければなりません。

業務災害による休業中で賃金の支払いがない場合でも、毎月の保険料は収めなければいけないのです。

事業主は、被保険者負担分と事業主負担分とをあわせて納付しなければなりません。

保険料の納付義務は事業主に課せられています。

このため、事業主には被保険者に支払う報酬から保険料を控除する権限が与えられており、各月に支払う報酬から前月分の保険料を控除することができることになっています。

業務災害による休業中でも、依然として納付義務は事業主にありますので、被保険者負担分も納付することになりますが、これは立替納付で、被保険者負担分は被保険者が負担すべきものなのです。

業務災害ということで、事業主が被保険者負担分を負担する法的な義務はありません。

被保険者負担分を立替納付すれば、事業主はその金額だけ私法上の求償権を取得することになります。

結局、立替分をどう返還するかは話合いによります。

【平成15年:事例研究より】