病気休職者の社会保険料の扱いは賞与で一括清算できるか【平成16年:事例研究より】

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従業員が4月から病気休職に入り、長引きそうな見込みです。

今後、給与の支払いは止まってしまいますが、賞与の算定対象期間にズレがあるので、賞与は満額出ます。

健康保険等の社会保険料は、賞与で一括清算したいのですが、ムリでしょうか。

【北海道・N社】

賞与の算定対象期間は、業績評価の期間に合わせるのが普通で、10月〜翌年3月分の後半期分を夏季賞与に反映させるパターンが多いようです。

この場合、病気休職で給与は出ないけれど、賞与は支給されるというケースも生じます。

しかし、会社が賃金等を支払うとき、任意に控除が許されているわけではありません。

保険料等については、労基法第24条の「法令に別段の定めがある場合、一部を控除して支払うことができる」という定めが根拠になります。

ここでいう法令とは、改正健康保険法第167条が該当します。

総報酬制導入に合わせ、条文が追加されているので、ご参考までに引用します(一部略)。

(保険料の源泉控除) 第167条事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、前月の標準報酬に係る保険料を報酬から控除することができる。

2事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、標準賞与額に掛かる保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

条文をご覧になればお分かりのように、賞与からは、その賞与に関する保険料だけしか控除できません。

総報酬制の導入により、賞与から引かれる社会保険料は、ただでさえ増え(被保険者負担分は、健保1000分の41、厚年1000分の67.9、これに介護保険も加わります)ています。

賞与で一括処理は法的にムリなだけでなく、被保険者のキャッシュ・フローにも影響大です。

保険料の清算は、事業主と被保険者でよく話し合い、両者納得のいく返還時期・方法を確認するべきです。

【平成16年:事例研究より】