賃金の大幅アップが2月続くが、随時改定は1回でよいか【平成15年:事例研究より】

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当社従業員が、結婚を控えて遠方に新居を構え、新幹線通勤を始めました。

通勤費の増加で、賃金は大幅にアップしました。

来月には入籍し配偶者手当の権利が生じるので、また賃金が増えます。

今月から3ヵ月経過後に標準報酬月額の随時改定の対象になりますが、配偶者手当の関係でさらに翌月、もう一度改定が必要になると予想されます。

この場合、後の改定一回で済ますわけにいかないでしょうか。

【大阪 O社】

随時改定は、固定的賃金のアップでその月以降3ヵ月間の賃金額に著しい変動(原則として標準報酬月額2等級以上の差が生じること)があったときに実施されます。

しかし、著しい変動は、1回だけとは限りません。

昇給後3ヵ月の間に、もう一度、賃金が改定される場合も考えられます。

お尋ねのケ−スのように、結婚を原因に転居・入籍という順番で段階的に賃金が上がるときもあれば、片方は昇職、片方は子供の増加など個別の理由が重なって昇給が続くときもあるでしょう。

この場合、随時改定が必要になるのは、固定的賃金の変動があった後、賃金水準が安定して3ヵ月が経過することが条件になるのでしょうか。

随時改定の趣旨は、被保険者の給与水準をより適正に把握することです。

その点を考えれば、次の改定が目に見えているような不安定な状況の賃金水準をベースに、新たな標準報酬額を決定する意味はないようにも思えます。

固定的賃金に変動があって、3ヵ月が経過する以前に、もう一度、賃金の見直しがあったのなら、そこでリセットして、新たに3ヵ月を区切るべきだという議論も成り立つでしょう。

しかし、そうした例外ヶ−スを想定した特例は設けられていません。

たとえば、1月と2月に昇給した場合、1〜3月の平均が基準を満たせば、4月に1度随時改定し、さらに2〜4月の平均が再度基準を満たせば、5月にもう1度改定が必要になります。

1回だけの便法は、取ることができません。

【平成15年:事例研究より】