継続療養で傷病手当金を受給している者が手術のため入院、手当金の支給はどうなるか【平成4年:事例研究より】

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病気のため会社を退職しましたが、その際に退職後も引き続き健康保険でかかれるよう手続きをして、健康保険で治療し、傷病手当金も受給しています。

その病気が悪化し、入院して手術することになりました。

入院・手術は健康保険でかかれるようですが、入院期間中、傷病手当金は減額されるのでしょうか。

【広島・A男】

健康保険では、被保険者の資格を喪失した日の前日まで継続して1年以上被保険者であり、資格喪失の際に療養の給付を受けていれば、その病気に限り、退職後も引き続き健康保険で治療(資格喪失後の継続療養)できます。

この継続療養を受けている人が、資格喪失の際に傷病手当金の支給を受けていれば、退職後も引き続いて傷病手当金の支給を受けることができます。

療養の給付の中には、診察から看護、入院というようなことまでが含まれていますから、資格喪失の際に入院していなかった場合でも、その後療養上入院が必要となれば、保険給付として受けることができます。

傷病手当金の額は、労務不能の日1日について標準報酬日額の6割ですが、被扶養者のない被保険者すなわち単身者が保険給付として入院しているときは標準報酬日額の4割となります。

被扶養者を有しない者が入院した場合、傷病手当金は標準報酬日額の4割に減じられるのは、その者の生活の大半が病院で営まれ、食事などの生活費の大部分は病院から保険者(社会保険事務所又は健康保険組合)に請求する入院料の中に含まれ、その者の生計費は実質的に軽減されるからです。

この取り扱いは、資格喪失後の継続給付として傷病手当金の支給を受けている場合にも適用されます。

したがって、入院していない期間については、被扶養者の有無にかからわず、傷病手当金の日額は同じ(6割)ですが、入院した場合には被扶養者の有無によって変わってきます。

被扶養者のない単身者が保険給付として入院すれば、入院中の傷病手当金の支給日額は、これまでの6割から4割に減額されます。

被扶養者を有していれば、入院期間中も同じ支給日額(6割)で減額されません。

ご質問では、退職後であり、健康保険で入院しているということで、傷病手当金が減額されるのではないかと心配されているようですが、被扶養者を有していれば入院期間中も減額されません。

【平成4年:事例研究より】