傷病手当金受給者が労務可能になり受給を中断、給付期間はその分延長されるか【平成4年:事例研究より】

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従業員が私傷病により会社を休んだときには健康保険から60%の傷病手当金が支給され、その期間は1年6ヵ月とされていますが、1年6ヵ月の支給期間はどのように計算されるのでしょうか。

病状が一時軽快したため、療養を続けながら出勤し賃金を受けた期間があった場合その期間を除いて1年6力月の期間、傷病手当金の受給が可能となるのでしょうか。

【栃木・K工業】

健康保険の傷病手当金は、療養のため労務不能となった日から起算して第4日目から支給され、支給期間は1年6ヵ月とされています。

「その支給を始めたる日より起算し1年6ヵ月を限度とす」(健保法第47条)とされ、その傷病について現実に支給を開始した日が、傷病手当金の支給期間の起算日となります。

無給の場合、傷病手当金は3日間の待期期間が完成した第4日目から支給が開始され、その第4日目から起算して1年6ヵ月を限度として支給されます。

1年6ヵ月の支給期間は、その傷病についてはじめて支給された日から暦の月数で計算された1年6ヵ月です。

その間に何日間傷病手当金を受給したかは関係ありません。

たとえば、傷病にかかり療養のため労務不能となったのが、平成3年6月1日とすれば、傷病手当金の待期期間は6月1日から3日までとなり、傷病手当金の支給期間は平成3年6月4日から1年6ヵ月間、つまり平成4年12月3日までとなります。

この点、行政解釈は「1年6ヵ月分の傷病手当金が支給されるということではない。

1年6ヵ月という期間(その間に労務可能となった期間を含む)を意味する」(昭26・5・1保文発第1346号、昭29・4・20保文発第5061号)としています。

傷病手当金の支給期間1年6ヵ月は、暦月で計算するもので、現実に傷病手当金を受けた日数だけを計算するものではありません。

傷病手当金の支給日数が1年6ヵ月ということではないわけです。

したがって、1年6ヵ月の間に、病気が軽くなり労務可能となったため療養を続けながら出勤し、傷病手当金を受けなかった期間があったとしても、その期間だけ支給期間が延長されることはありません。

前記の6月1日発病、6月4日から傷病手当金受給開始の例でいえば、出勤した期間があっても平成3年12月3日までで、傷病手当金の支給は打ち切られます。

【平成4年:事例研究より】