傷病手当金受給者が入院した場合、手当金は減額されるか【平成4年:事例研究より】

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当社の従業員が病気のため退職となりましたが、その際、退職後も健康保険でかかれるように申請し、健康保険で治療し、傷病手当金も引き続き受給しています。

その病気が再び悪化して入院することになりました。

ご入院した場合、受給中の傷病手当金が減額されるという話を聞き、本人は心配していますが、傷病手当金が減額されることがありますか。

【兵庫・T社】

健康保険では、被保険者の資格を喪失した日の前日まで継続して1年以上被保険者であり、資格喪失の際に療養の給付を受けていた者は、その病気に限って退職後も引き続き初診日から5年間は健康保険で治療(資格喪失後の継続療養)を受けることができます。

資格喪失後の継続療養を受けるには、資格喪失の日から10日以内に「継続療養受給届」を保険者に提出し、「継続療養証明書」の交付を受け、これにより治療を継続します。

この手続きにより資格喪失後の継続療養を受けている者が、資格喪失の際に傷病手当金の支給を受けていた場合は、引き続き傷病手当金を受けることができます。

傷病手当金の支給期間は1年6ヵ月が限度とされていますので、受けられるのははじめて傷病手当金を受けた日から暦の月数で計算し、1年6ヵ月です。

傷病手当金の額は、1日について標準報酬日額の6割ですが、被扶養者のいない者つまり単身者が入院しているときは標準報酬日額の4割となります。

被扶養者のない者が入院すると、その者の生活の大半は病院で営まれ、食費などの生活費の大部分は病院から保険者に請求する入院料の中に含まれることになり、その者の生活費は相当軽減されるからです。

この取り扱いは、資格喪失後の継続給付として傷病手当金を受ける場合にも適用されます。

入院していない期間については、被扶養者の有無にかかわらず、傷病手当金の支給日額は同じ6割ですが、入院している場合には、被扶養者の有無によって変わってきます。

被扶養者のない単身者が入院すれば、入院した期間については、標準報酬日額の6割から4割に減額されます。

被扶養者を有していれば、入院期間中も6割支給で減額されません。

保険給付として入院すれば、すべて減額されるわけではなく、減額されるのは被扶養者のない場合です。

被扶養者を有していれば、入院しても減額されません。

【平成4年:事例研究より】