傷病手当金受給中に資格喪失、以後の事業主証明はどのようにするか【平成4年:事例研究より】

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健康保険の傷病手当金の請求に当たっては、事業主の「労務に服することができなかった期間」の証明が必要とされていますが、資格喪失後の事業主証明についてご教示ください。

傷病手当金受給中に資格を喪失した場合、喪失日以降の休業の事実関係は難しい面もあり、事業主の証明は不可能と思われますが、請求用紙に在職中の事業主の証明が必要でしょうか。

【長野・A社】

健康保険では、被保険者資格を喪失の際に傷病手当金の支給を受けていた者は、被保険者として受けることができた期間、継続して傷病手当金の支給を受けることができます。

これを受けるには、被保険者の資格を喪失した日の前日まで継続して1年以上被保険者であったことが必要です。

資格喪失の日の前日まで1年以上の被保険者期間を有し、資格喪失の際に傷病手当金の支給を受けていれば、法定の支給期間(1年6ヵ月)が満了するまで、退職後もその病気の療養のため労務不能という要件を満たす限り、引き続き傷病手当金が受けられます。

もちろん、傷病手当金の支給期間内であっても、労務可能となれば傷病手当金は打ち切られます。

資格喪失前に継続して1年以上被保険者であれば、資格喪失の日から10日以内に「資格喪失後継続療養受給届」を社会保険事務所(または健康保険組合)に提出し、丁継続療養証明書」の交付を受ければ、継続療養は可能です。

この手続きにより、継続療養を受けている者が資格喪失の際に傷病手当金を受けていた場合には、引き続き傷病手当金の支給を受けることができます。

傷病手当金の請求は、退職後の請求といっても特に定められたものはありませんので、資格喪失前の場合と同様「傷病手当金請求書」を提出します。

傷病手当金の請求に当たっては、事業主の労務に服することができなかった期間および賃金の支払いに関する証明が必要とされていますが、資格喪失後の傷病手当金を受けようとするときは、事業主の証明は必要としません。

医師の意見のみで差し支えありません。

退職してしまった場合、お説のとおり事実関係は難しい面があり、証明すること自体が不可能ですから、事業主は証明する必要はありません。

保険者は、傷病手当金請求書に記載された労務不能期間に関する意見により判断し、労務不能であれば傷病手当金を支給します。

【平成4年:事例研究より】