傷病手当金の請求を病欠者の年休を全部消化してから手続きをとっているが法的にどうか【平成4年:事例研究より】

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当社の従業員が私病で入院し、健康保険で治療中です。

3日間の待期期間をおき第4日目から支給される傷病手当金をもらいたいといっています。

当社は年休を全部消化してから健保の手続きがとられています。

本人から年休の申し出はなく、年休を残したいという申し出がありました。

このようなとき、年休を消化してから健保の手続きを取るのは法的にはいかがですか。

【大阪・N社】

私傷病欠勤において年次有給休暇(年休)がある場合、年休をあてずに、健康保険の傷病手当金を請求することは差し支えありません。

違法ということもありません。

むしろ、年休をあてないで傷病手当金を請求するのが通例であるといえます。

年休はあくまで労働者の請求(時季指定)によって与えられるもので、私傷病欠勤に年休をあてるかどうかは労働者の自由な選択によります。

したがって、ご質問のように年休を全部消化してから健保の手続き(傷病手当金の請求)をとるには、労働者から異議がなく、労働者の承諾があることが有効要件となります。

本人から請求はなく、年休を残しておきたいという申し出があるにもかかわらず、一方的に年休をあてることは違法となります。

私傷病欠勤中に年休をあてた場合、年休の賃金が支払われ、その額は傷病手当金の額以上ですから、傷病手当金は支給されません。

健康保険では、傷病手当金支給の適否を判断するだけで、年休の取得を強制することはしません。

【平成4年:事例研究より】