姉妹が被保険者、無収入の母を被扶養者にするときいずれにいれるべきか【平成4年:事例研究より】

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母親(58歳)は、秋田県に住んでいたのですが、最近夫と離婚し、東京に出て働いている娘2人と一緒に生活することになりました。

母親は無収入です。

姉妹は、それぞれ被保険者になっています。

姉妹のうち、当社に勤務する妹の方で母親を被扶養者にしたいとのことですが、同居している姉がいるにもかかわらず、妹の被扶養者として認定を受けられますか。

【東京M社】

健康保険では、被扶養者となることのできる人について、一定の条件を定めています。

一つは、被保険者の収入で生活を維持している家族、つまり被保険者の父母、祖父母などの直系尊属、配偶者(届け出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、子、孫、弟妹で、被保険者と必ずしも同居していなくてもよい家族です。

次に被保険者の収入で生活を維持しているほか、同居していなければならコない家族です。

配偶者の父母や配偶者の連れ子などがこれに該当します。

被扶養者となろうとする人でも、一定額以上の収入がある場合には、被扶養者になることはできません。

一定額の収入とは、被扶養者となろうとする人の年間収入が110万円(60歳以上の老年者は160万円)を超える場合です。

ご質問の場合、母親は「被保険者の直系尊属」にあたり、無収入とのことですから、被保険者によって扶養されており被扶養者となります。

一つの家庭で姉と妹と被保険者が2人いる場合、母親は子である姉妹と一緒に生活し、姉妹は共同して扶養しているわけですが、母親は姉と妹の両方に扶養されているからといって、両方の被扶養者となることはできません。

いずれか一方の被扶養者となります。

このような場合、その被保険者が受ける報酬の多少、その家庭内における経済上の地位により判断すべきものです。

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定にあたっては、「被扶養者とすべき員数にかかわらず、年間収入(当該被扶養者届が提出された日の属する年の前年分の年間収入とする)の多い方の被扶養者とすることを原則とすること」(昭60・6・3保発第66号、庁保発第22号)とする通達があります。

妹の収入が姉の収入を上回っていれば妹の方で被扶養者となります。

姉がいるからといって、必ずしも姉の方で被扶養者になるとは限りません。

【平成4年:事例研究より】