出産のため退職するが分娩関係の給付は在職時と金額が異なるか【平成4年:事例研究より】

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女子従業員から近く出産するため、退職したいという申し出がありました。

健康保険では退職後6ヵ月以内にお産した場合には、お産関係の給付が受けられますが、受給できる金額は在職して被保険者となっている場合と異なるのでしょうか。

退職6ヵ月以内にお産した場合の受給できる金額などについてお教えください。

【青森・A製作所】

健康保険では、女子被保険者が退職して被保険者の資格を喪失した後でも、資格を喪失した日から6ヵ月以内に分娩したときは、分娩に関し、被保険者として受けることができる給付を、資格を喪失したときの保険者から受けることができます。

ただし、これを受給できるのは、被保険者の資格を喪失した日の前日まで継続して1年以上被保険者であったことが必要です。

ご質問の場合も、被保険者の資格喪失の前日まで継続して被保険者であり、資格喪失の日後6ヵ月以内に分娩すれば、被保険者として受けられる分娩費、出産手当金、育児手当金のすべてが受けられます。

分娩費は、分娩に要する費用として支給され、分娩費の額は、標準報酬月額の半額に相当する額です。

ただし、その額が20万円未満のときは、20万円(最低保障額)が支給されます。

分娩費は胎児数に応じて支給されますので、双児の場合の分娩費は標準報酬月額の1ヵ月分(最低保障額は40万円)となります。

出産手当金は、分娩の日前42日(多胎妊娠の場合は70日)、分娩の日以後56日以内において、労務に服さなかった期間に対して支給されます。

出産手当金は、労務可能な状態であっても、労務につかなかった期間について支給されますので、被保険者であった者(資格喪失後の受給要件を備えた者)は、他の事業所に使用されていない限り支給されます。

育児手当金は、分娩した子を引き続き育てる場合に支給され、その額は2,000円です。

育児手当金も、一胎児ごとに支給されますので、双児の場合には2人分(4,000円)が支給されます。

以上の支給額は、在職中で被保険者である者に支給されるものと全く同じです。

退職して被保険者でなくなってからの分娩ということで、給付金額が異なることはありません。

分娩関係の給付(分娩費、出産手当金、育児手当金)は、在職中と退職後で差異が生ずることはありません。

【平成4年:事例研究より】