入社6ヵ月で病気退職、任意継続被保険者となり継続治療をうけられるか【平成4年:事例研究より】

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4月に採用した従業員が、健康保険加入3ヵ月で病気にかかり、健康保険で治療を受けています。

試用期間中の者は、欠勤が3ヵ月続くと退職扱いとなります。

退職してもなお治療が必要な場合、被保険者期間が1年以上ないと治療できません。

退職後、任意継続被保険者となって、1年以上の被保険者期間を作ることによっで”任継”をやめても健保で治療できますか。

【東京K工業】

健康保険では、被保険者が資格を喪失した際に一定期間以上の被保険者期間を有し、保険診療を受けている場合には、その傷病に限って退職後も引き続き保険診療が受けられます。

これを資格喪失後の継続療養といづていますが、継続療養を受けるには、資格喪失の日の前日まで継続して1年以上被保険者であったことが必要です。

4月に被保険者資格を取得し、9月に被保険者資格を喪失することになりますと、受給要件である1年以上継続して被保険者であった期間を有しておらず、資格喪失後の継続療養を受けることはできません。

一方、被保険者の資格を喪失するまで継続して2ヵ月以上被保険者であり、資格喪失の日から20日以内に申請すると、原則として2年間に限って任意継続被保険者になることができます。

任意継続被保険者となりますと、保険給付は一般の被保険者と何ら変わりありません。

健康保険の一般の被保険者と同様、保険診療はもちろんのこと、傷病手当金などの各種の保険給付が受けられます。

ただし、保険料は全額自己負担しなければなりません。

ご質問は、退職後、任意継続被保険者になって1年以上の被保険者期間を作れば、任意継続被保険者をやめても資格喪失後の継続療養が受けられるのではないかということですが、1年には任意継続被保険者である期間は算入されません。

任意継続被保険者をやめた後も、継続療養を受けるには、任意継続被保険者となる直前までに継続して1年以上の強制被保険者の期間があることが必要です。

したがって退職後、任意継続被保険者となり、1年以上となっても、任意継続被保険者の期間を資格として計算されませんので、資格喪失後の継続療養を受けることはできません。

任意継続被保険者となる直前までの強制被保険者の期間は6力月しかありませんので、任意継続被保険者をやめますと、その時点で保険診療は打ち切られ、継続療養を受けることはできません。

【平成4年:事例研究より】