任意継続被保険者を雇用するが資格届や保険料はどうなる【平成4年:事例研究より】

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当社では、Aを採用することになりましたが、Aは前の会社を退職後、健康保険の任意継続被保険者となっています。

当社に再就職すれば、再び健康保険に加入するわけですが、任意継続被保険者となっている人を採用するのは初めてです。

任意継続被保険者となっている人を採用した場合、任意継続被保険者の資格や保険料はどのように処理したらよいでしょうか。

【東京・H社】

健康保険では、退職して被保険者の資格を喪失した後でも、資格喪失の日の前日まで継続して2ヵ月以上の被保険者期間があれば、退職後も引き続いて個人で被保険者資格を続けることを認めています。

これが任意継続被保険者の制度ですが、任継被保険者がその資格を喪失するのは、次の場合です。

1.任継被保険者となって2年経過した、日の翌日 2.55歳以上で任継被保険者となった人が60歳に達した日または2年経過した日の、いずれか遅い日の翌日 3.死亡したときは死亡した日の翌日 4.保険料を納付期日までに納付しないときはその翌日 5.本来の被保険者となった当日 これら、に該当すれば何ら手続きを経ずに、任継被保険者の資格を喪失します。

資格喪失届を提出する必要はありません。

ご質問の場合、5.に該当しますので、何ら手続きをせずに任継被保険者の資格を喪失します。

事業主は5日以内に被保険者資格取得届を提出しなければならないのは、被保険者の資格を取得した人が生じた場合と同様です。

再就職して被保険者資格を取得した場合、その月はたとえそれが月のはじめであっても、最終日であっても、その月分の保険料は全額徴収されます。

一方任継被保険者の保険料は、その月分をその月の10日までに納めなければなりません。

任継被保険者が再就職して被保険者になった場合、その月の保険料は二重に支払うということが生じます。

たとえば、11月21日に再就職して被保険者となった場合、任継被保険者の保険料は11月10日までに納めており、再就職したことにより11月分の保険料は翌月12月支払いの賃金から控除され、11月については保険料は二重となります。

しかし、前月から被保険者であった人は、資格喪失月の保険料は不要のため、すでに保険料を納めている任継被保険者の11月分の保険料は返還されます。

【平成4年:事例研究より】