夫婦とも老齢年金受給者で、一方が死亡したとき遺族年金と自分の年金を併給できるか【平成4年:事例研究より】

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私(62歳)は2年ほど前に定年退職し、現在、厚生年金の老齢年金を受給しています。

妻(58歳)も、このほど退職し、老齢年金を受給しはじめることになりました。

私たち夫婦は、ともに厚生年金の老齢年金を受給しながら生活することになりますが、万一、私か死亡したという場合、残された妻は夫の遺族年金と自分の老齢年金の両方を受けられますか。

【東京・M男】

あなたが受給している特別支給の老齢厚生年金には、奥さんの加給年金が加算されているはずです。

加給年金の対象となっている奥さんが、特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになると、加給年金は支給停止になります。

特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間が20年以上ある人に支給されますが、昭和22年4月1日以前に生まれた人の場合、男子は40歳、女子は35歳以後の厚生年金の加入期間が15年〜19年あれば受けられます。

この中高齢の特例で特別支給の老齢厚生年金を受ける場合も、加給年金は支給停止になります。

加給年金はつかなくなります。

遺族厚生年金は、1.厚生年金に加入中に死亡したとき、2.厚生年金に加入中に初診がある傷病によって初診日から5年以内に死亡したとき、3.1級または2級の障害厚生年金を受けている人が死亡したとき、4.老齢厚生年金を受けているか、受けられる資格期間を満たしている人が死亡したとき一ー支給されます。

万一、あなたが死亡されたときは4.に該当し、あなたが受給している老齢基礎年金のうち「報酬比例部分の4分の3」が、遺族厚生年金として支給されます。

妻さんが65歳になるまで、これに「中高齢の寡婦加算」が加わります。

しかし、奥さんは、自分自身の老齢厚生年金を受給しています。

夫からの遺族厚生年金と、自分の特別支給の老齢厚生年金の両方を受給することはできません。

奥さんは、65歳になるまでは、夫から遺族厚生年金か、自分の老齢厚生年金か、どちらかを選択して受給します。

当然のことですが、額の多い方を選ぶことになります。

奥さんが65歳になると、老齢基礎年金が受けられるようになります。

65歳からは老齢基礎年金を受給したうえで、夫からの遺族厚生年金か、自分の老齢厚生年金かを選択します。

遺族厚生年金を受ける場合、中高齢の寡婦加算は経過的寡婦加算に切り替わります。

【平成4年:事例研究より】