1ヵ月単位の変形労働時間制を採用するが、各日、各週の労働時間をどう明記したらよいか【平成4年:事例研究より】

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当社の所定労働時間は、1日7時間40分で、6日労働の週でも46時間に収まっていたのですが、4月から44時間になりますと、1ヵ月単位の変形労働時間制で対応しなければなりません。

1ヵ月の変形制の要件として、就業規則に1ヵ月を平均して1週44時間以内で「各日、各週の労働時間を具体的に定める」ことが必要とされています。

1日7時間40分は固定したままですから、各日の労働時間は具体的に定まりますが、休日を決定する方式をとっており、何週は何時間という表示はできません。

各週の労働時間を具体的に定めるとは、週ごとに何時間と明記しなければならないのでしょうか。

【兵庫・H社】

1週間の法定労働時間が44時間(猶予事業は46時間)とされたことに伴い、1ヵ月を平均して1週間の労働時間が44時間以内であっても、44時間を超える週(7時間40分×6労働日=46時間)があれば1ヵ月単位の変形労働時間制で対応しなければなりません。

1ヵ月単位の変形労働時間制を採用するには、1ヵ月を平均して1週当たりの労働時間が44時間(猶予事業は46時間)を超えない範囲で、各週、各日の労働時間を具体的に定める必要があります。

具体的にどの日が8時間を、どの週が44時間を超えるのか特定して定める必要があります。

1ヵ月単位の変形労働時間制は、月によって労働時間の限度が変化しますから、31日の月は194.8時間(44時間×31÷7)、30日の月は188.5時間(44時間×30÷7)、28日の月は176時間(44時間×28÷7)が労働時間の総枠となり、この限度時間数を超えないように設定しなければなりません。

また、就業規則には各日の労働時間の長さだけではなく、始業及び終業の時刻を定める必要があるほか、変形時間の起算日を定めることも必要です。

就業規則にこのような定めをした場合には、その定めにより、特定された週に労働時間が44時間を超え、あるいは特定された日に8時間を超えて労働させることができ、これらの時間は時間外労働となりません。

各週の労働時間を具体的に定めるとは、第1週は何時間、第2週は何時間というように1週間の所定労働時間を明記しなけれぱならないということではありません。

前もって各週の労働時間が計算できるものであれば足ります。

1日の所定労働時間は7時間40分で、各日の始業・終業の時刻が定められていますので、休日を定めることにより、各週の所定労働時間は計算できます(6労働日の週は44時間、5労働日の週は38時間20分)から、各週の労働時間も具体的に定められたことになります。

就業規則に1ヵ月単位の変形労働時間制である旨を明確にされ、起算日から起算した1ヵ月ごとに、それぞれ1週平均44時間以内になるように休日を設けることでよいわけです。

【平成4年:事例研究より】