週休2日制の土曜日を業務量の多い期間だけ出勤させているが休日扱いでなくてよいか【平成4年:事例研究より】

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週休2日制による土曜休日に、一時的に業務量が急増したため従業員の同意を得て返上させ、出勤させることにしました。

土曜休日の返上は暫定的なもので、仕事量が正常化すれば直ちに戻す(休日とする)ものです。

この場合、返上させた土曜日の出勤は、休日出勤扱いせず休日出勤手当は不要と考えますが、賃金1日分を追加支給することでよいでしょうか。

【香川・K工業】

労基法第37条は使用者が時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合には、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないことを規定しています。

この割増賃金を支払わなければならない休日労働とは、労基法第35条に規定する1週1回または4週4回のいわゆる法定休日の労働です。

法を上回って与えられている国民の祝日、週休2日制による土曜日などの休日に労働させても、週1回の休日が確保されている限り、労基法の休日労働には該当せず、割増賃金(125%)を支払う必要はありません。

行政解釈(昭23・4・15基発第537号、昭63・3・14基発第150号)は、 「問 法第37条の規定により休日労働に対し割増賃金を支払わなければならないのは法第35条の休日のみと解するが如何」 「答 見解のとおり。

ただし、法第35条の休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払いを要するから念のため」としています。

労基法第35条に定める休日以外の休日に出勤させても、法的には割増賃金を支払う必要はなく通常の労働時間の賃金(100%)を支払うことで足ります。

しかし、労基法で定める労働条件の基準は最低のものですから、労基法上割増賃金を支払うことを要求されていなくても休日に働かせる以上、割増賃金を支払うことが望ましく、実際にも、法定休日以外の休日の労働にも割増賃金を支払う取扱いをしている会社が多いといえます。

法定休日以外9休日の労働にも、割増賃金を支払う旨、労働協約や就業規則に定めている場合には、その定めにより割増賃金を支払わなければなりません。

同意を得て土曜休日を返上させた意味が、休日出勤扱いをせず休日出勤手当を支払わないことまで同意したということであれば、通常の賃金1日分を支払うことでよいと考えられます。

土曜休日の労働は、休日労働に当たらなくても、その日の労働が8時間を超え時間外労働となる場合には、割増賃金を支払わなければなりません。

また、その日の労働が8時間以内であっても、週の法定労働時間を超えることになれば、時間外労働として、その超える時間に割増賃金を支払わなければなりません。

1ヵ月単位の変形労働時間制を採用している場合でも、変形労働時間制によって1日または週の法定労働時間を超えて労働させることができるのは、就業規則その他これに準ずるものにおいて、あらかじめ特定された日または週についてだけであり、それ以外の日や週に法定労働時間を超えて労働させることはできません(時間外労働として三六協定に基づき労働させることはできます)。

土曜休日に出勤させたためあらかじめ特定された週以外の週に、週の法定労働時間を超えて労働することになる場合には、その超える部分が時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要となります。

【平成4年:事例研究より】