トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)
当社はパートタイマー(雇用期間の定めはない)を雇用してきましたが、仕事が少なくなったため、一部のパートタイマーを3月31日付けで解雇すべく、その予告を2月21日に行いました。
そのうちの1人が3月4日に業務上負傷し、1週間休業しました。
この場合、他の解雇予告者と同様、予告期間の満了(3月31日)をもって解雇してよいでしょうか。
労災休業があったため、3月31日の解雇が不可能となれば、いつをもって解雇日とすればよいのでしょうか。
【福島・O社】
解雇の予告がなされても、予告期間が満了するまでは労働関係は有効に存続しますので、その期間中労働者は労務の提供をしなければならず、使用者はこれに対して賃金を支払わなければなりません。
したがって、予告期間中に業務上負傷するということもあり得ます。
労基法第19条は「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間……は、解雇してはならない」と規定し、業務上の傷病のため休業している期間とその後30日間は解雇を禁止しています。
ご質問の場合、解雇予告期間中に解雇制限事由が発生したわけですが、労基法第19条が適用され、予告期間の満了をもって解雇することはできません。
その後30日間は、休業期間の長短に関係がないものですから、たとえ業務上の傷病による休業が1日であっても、その後30日間は解雇が制限されます。
行政解釈は「解雇予告期間満了の直前にその労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり療養のため休業を要する以上は、たとえ1日乃至2日の軽度の負傷又は疾病であっても法第19条の適用がある」(昭26・6・25基収第2609号)としています。
したがって、3月4日に業務上負傷し、1週間休業していますので、予告期間満了の3月31日をもって解雇することはできません。
他の解雇予告者と同様の取り扱いはできません。
では、いつをもって解雇の効力が発生するかという点ですが、これは前に行った解雇予告の効力がどうなるかということと関連します。
このような場合、行政解釈は解雇の効力発生が停止されるだけであって、前の解雇予告自体は無効にならないとする停止説をとっています。
つまり「負傷し又は疾病にかかり休業したことによって、前の解雇予告の効力の発生自体は中止されるだけであるから、その休業期間が長期にわたり解雇予告として効力を失うものと認められる場合を除き、治ゆした日に改めて解雇予告をする必要はない」(同第2609号)としています。
その後30日間は、療養のため休業する必要が認められなくなって出勤した日、または出勤し得る状態に回復した日から起算されますから、3月4日から1週間休業し、3月11日から出勤した場合、3月11日から起算して30日を経過した4月9日(その日の終了をもって)に解雇の効力が発生することになります。
【平成16年:事例研究より】