試用期間6ヵ月は長すぎるか【平成16年:事例研究より】

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当社の従業員規則では、試用期間を6ヵ月と定めています。

この試用期間が長すぎるという問題が提起されています。

一般の試用期間が3ヵ月であることを考えると長すぎるのではないかということです。

試用期間6ヵ月は問題があるのでしょうか。

【北海道・N社】

大多数の企業は、いわゆる試用期間を設け、本採用に先立ち一定期間中に労働者の能力、人物などを評価して正式採用の可否を決めることにしています。

試用期間は、本採用を前提として労働者が有している能力、適性を評価するための期間であるといえます。

一般に、本採用に適さないと判断されたときは解雇し得るように、解雇権が本採用者に比し広く留保されており、その期間中の賃金その他の労働条件も低く定められています。

この留保された解約権を行使するには、本採用に適しないとする合理的な事由が必要となります。

試用期間中の労働者と使用者の関係も労働契約である以上、試用期間中の者も、他の労働者と異なることなく労基法の規定が適用されます。

労基法第21条によりますと、試用期間中の者には、労基法第20条の解雇予告制度の適用はありませんが、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合には解雇予告制度が適用されます。

これは、試用期間の長さ自体を制限するものではありませんから、就業規則で試用期間の長さを3ヵ月あるいは6ヵ月と定めることも差し支えありません。

試用期間の試用という目的に必要な合理的な期間は試の使用という目的に必要な合理的な期間でなければならず、不必要な長期の試用期間の定めは公序良俗に反し無効となることも考えられます。

何ヵ月以上あるいは何年以上が合理的範囲を超えるものかを判断した判例はないようです。

見習社員として6ヵ月〜9ヵ月の試用期間を定め、さらにそのうえ試用社員として6ヵ月〜1年の試用期間を設けたケースで、「見習社員としての試用期間(6ヵ月ないし9ヵ月)中に、会社従業員としての会社における業務に対する適性を会社が判断することは十分可能であり、見習社員から試用社員に登用した者について、さらに6ヵ月ないし1年の試用期間を設ける合理的な必要はない。

試用社員としての試用期間は、合理的範囲を超えている」(ブラザー工業事件=名古屋地裁判決昭59・3・31)としたものがあります。

試用期間の長さは、一般に3ヵ月であるとかといった観点から論議すべきものではなく、それぞれの企業において、労働者の能力や適性について判断を行う必要最小の期間とすべきでしょう。

【平成16年:事例研究より】