トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)
当社の就業規則には「採用の日から3ヵ月を試用期間とする。
試用期間満了時に従業員として不適当と認められた者は本採用しない」と規定されています。
4月採用の試用期間中の1人は協調性がなく、作業上のミスも多く、反抗的な言動も多いため、本採用を見合わせたい考えです。
この場合、就業規則にのっとり、試用期間の満了と同時に本採用しないのですから、30日分の解雇予告手当を支給すれば、問題はないでしょうか。
【広島・Y社】
試用期間とは、一般に本採用決定前の期間であって、その期間中に労働者の勤務態度、能力などをみて本採用するかどうかを決める期間とされています。
試用期間の長さ自体の制限はありませんから、就業規則などで自由に、たとえば3ヵ月あるいは6ヵ月と定めることも差し支えありません。
試用期間中の者であっても、その関係は労働契約ですから、その解消には労基法の適用があります。
労基法第21条では、解雇予告制度の適用を除外する者として、試用期間中の者を掲げていますが、試用期間中の者が14日を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告をしなければなりません。
つまり、試用期間の長さに関係なく、15日以降に解雇するには解雇予告をしなければならないわけです。
行政解釈は「法第21条は、試の使用期間中の者であっても、その試用期間が14日を超えた場合は解雇予告の義務を除外しないこととしたものである。
したがって会社で定めている試の使用期間の如何にかかわりなく、14日を超えれば法第20条の解雇予告、もしくは予告手当の支払を要するものである」(昭24・5・14基収第1498号)としています。
30日前に解雇予告をしない使用者は、予告に代えて30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。
労基法上は最低30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払えば即時解雇することができるわけです。
ご質問の場合、試用期間の満了と同時に解雇予告手当を支払って解雇するようですから、労基法違反の問題は生じません。
しかし、解雇であれば、それ相当の理由が必要ですから、解雇が有効か無効かの争いの余地は残ります。
一般に試用期間中は本採用された後と比べて広く解雇権が留保されているといわれていますが、だからといって試用期間中の解雇は無制限に許されるものではありません。
試用期間中といえども客観的にみて、従業員としての適格性を欠くと認められる具体的事実がなければなりません。
従業員としての適格性を欠く事実があったかどうかは、具体的事実に即して個別に客観的に判断しなければならないものとされています。
【平成16年:事例研究より】