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産休明けで出勤しはじめた女子から「育児時間」の請求がなされました。
通勤に利用しているバスの回数が少ないので、利用バスに合わせて「始業時から40分(40分の遅刻)、終業前20分(20分の早退)という請求です。
40分、20分の分割には、「1日2回各々30分」という規定から疑問が感じられますが、請求どおり与えなければなりませんか。
【宮城・W社】
労基法第67条は、生後満1年に達しない生児を育てる女子は、生児への哺乳その他の世話のための時間(育児時間)を休憩時間とは別に、「1日2回各々少なくとも30分」請求できることとし、この育児時間中は「その女子を使用してはならない」と規定しています。
育児時間は、生後満1年未満の生児を育てる女子労働者が請求したときに与えなければならないものですから、請求しないときは与えなくても差し支えありませんが、請求したときは必ず与えなければなりません。
育児時間をいつ与えるかは、単に「1日2回少なくとも30分」と規定されているだけで、位置の特定はありません。
休憩時間のように「労働時間の途中」に与えなければならないという制約もありません。
請求したときですから、勤務時間の始めと終わりに各30分ずつ請求されたときでも、請求された時間に与えなければなりません。
行政解釈は、育児時間を勤務の始めまたは終わりに請求してきた場合でも、「生後満1年に達しない生児を育てる女子労働者が、育児のための時間を請求した場合に、その請求に係る時間に、当該労働者を使用することは、法第67条違反である。
その時間を有給とするか否かは、自由である」(昭33・6・25基収第4317号)としています。
また、哺乳のため乳児のところまで往復する時間が相当かかるような場合に、実質的な育児時間を確保するため、労使協定によって育児時間を一括して一度に請求できることとすることは・、それが全員について分割請求を認めず一律に1回とその請求し得る回数を制限するものではなく、一度にまとめての請求もできるという趣旨の協定であれば、問題ないとされています。
ご質問では、始業時から40分、終業前20分を請求されたとのことですが、「1回につき30分の育児時間が与えられていれば違法となりません。
「少なくとも30分」ですから、請求どおり始業時に40分を与えることにするのは差し支えありません。
ただし終業時の20分は、「少なくとも30分」に反して、育児時間を与えたことにならないと考えられます。
しかし、育児時間は請求によって与えられるものですから、午前だけは30分を請求するが、午後の30分は請求しないということも可能です。
したがって、利用する通勤バスの便を考えて、1.始業時30分のところ40分の育児時間とする代わり、終業時の育児時間は請求しないことにする。
2.1回30分を合計して1時間を勤務時間の始めか終わりに育児時間とする。
3.請求どおり始業時40分、終業時20分(育児時間に当たらなくても育児時間として取り扱う)を育児時間とするー・--など、よく話し合われて決められたらと考えられます。
なお、育児時間中の賃金については、有給とするか無給とするかは労働協約、就業規則の定めによります。
無給の定めであれば育児時間分の賃金をカットすることができますし、有給であればカットできません。
【平成4年:事例研究より】