終業後15分の空き時間をとって残業を開始しているが廃止することは可能か【平成4年:事例研究より】

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当社は、始業を午前8時、休憩は正午から午後1時までと午後3時から3時10分までの計70分、終業午後5時で、実働7時間50分となっています。

このような勤務体系で午後5時の終業時刻後、残業の開始時間を午後5時15分としています。

終業時刻後に15分のあき時間がありますが、他社にもこのような例があり、問題はないといわれています。

しかし、終業後の15分の空き時間が半端なものに感じられます。

午後5後から残業開始ならばと考えられますが、空き時間15分の廃止はいかがでしょうか。

【秋田・T製作所】

労基法第34条は、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定しています。

この「労働時間が6時間を超える場合」とは、始業後6時間を経過した際、少なくとも45分の休憩時間が与えられていなければならないという意味ではなく、1勤務の実労働時間の総計が6時間を超え8時間までの場合は、その労働時間の途中に45分の休憩時間を与えなければならないという意味であり、休憩時間の置かれる位置は問わないという意味です。

「労働時間が8時間を超える場合」の意味についても同様です。

労基法上、労働時間が8時間を超える場合は、超える時間が何時間であっても、1時間の休憩時間が与えられていれば違法となりません。

行政解釈は、「法第34条における労働時間とは実労働時間の意であり、これが1日8時間を超える場合には、所定労働時間の途中に与えられる休憩時間を含めて1時間の休憩時間が与えられなければならないものであること」(昭22・11・27基発第401号、昭26・10・23基収第5058号)、「一昼夜交替制においても法律上は、労働時間の途中において法第34条第1項の休憩を与えればよい」(昭23・5・10基収第1582号)としています。

したがって、時間外労働が数時間に及ぶ場合、変形労働時間制により16時間隔日勤務制がとられている場合でも、1時間の休憩時間が与えられていれば適法です。

貴社の場合、拘束9時間、実働7時間50分で、所定労働時間中にすでに70分の休憩時間が与えられていますので、残業の場合でもこれ以外に休憩時間を与えなくても違法となりません。

「午後5時の終業時刻後、残業の開始時刻を午後5時15分としています」、「終業後の15分のあき時間」とあり、手待時間なのか休憩時間なのか明らかではありませんが、午後5時15分か残業開始の時刻ですから、残業者にとっては休憩時間であると考えられます。

おそらく残業せずに帰る者もあるため、終業時刻から残業開始までの15分を休憩時間としているのでしょう。

労基法は、休憩時間の最高限度については何ら規定はしていませんので残業開始の直前に15分の休憩時間を設けても違法という問題は生じません。

お説のとおり、他社にもこのような例があります。

休憩時間を長くすることは拘束時間を長くすることになりますので、残業直前の15分の休憩時間は、労務管理の観点から検討されるべきものと考えられます。

つまり、残業直前の15分の休憩時間は必要なものか、不要なものかを検討され、不要なら廃止されたらと考えられます。

【平成4年:事例研究より】