私病で欠勤中の社員の休職発令日はいつにするか【平成16年:事例研究より】

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就業規則で「業務外の傷病により欠勤が3ヵ月以上に及んだ場合は休職を命ずる。

休職期間は2年。

休職期間が満了したときは社員の地位を喪失する」と規定しています。

従業員は4月22日から私病により欠勤していますが、休職の発生する日(休職算定の起算日)はいつとすべきでしょうか。

また、休職期間が満了するとき1ヵ月前に解雇予告が必要でしょうか。

【福岡・F社】

休職とは、私傷病など労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない事由が発生した場合に、労働者としての身分を保有させたまま一定期間、その労働者のなすべき職務を解除するものです。

そして、休職は、就業規則に定められた所定事由の発生した労働者につき所定の手続きを経て個別に決定されるものです。

貴社の休職に関する規定では、「業務外の傷病による欠勤が3ヵ月以上に及んだ場合」とあり、欠勤が3ヵ月以上となった場合に、休職発令の要件がととのいます。

ご質問では「休職の発生する日(休職算定の起算日)」とあり、「欠勤3ヵ月以上」と欠勤日数のみを数えて計算するのかという疑問とも思われます。

期間を定める場合に週、月、年をもってしたときは、暦にしたがって定められた期間を計算し(民法第143条)、初日は算入しません。

ただし、その期間が午前0時から始まるときは初日を算入します(同法第140条)。

たとえば、労働者の責に帰すべき事由により予告および予告手当の支払いなくして解雇する場合、所轄労基署長の認定が必要で、認定基準として「原則として2週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」が示されていますが、この「2週間以上」は暦的計算方法によるものと解されます。

したがって、4月22日から私傷病欠勤していれば、暦にしたがって3ヵ月の期間を計算し、7月22日以降に休職を発令することができます。

7月22日以降に休職を命じた日の翌日が休職期間の起算日となります。

休職を命じた日は算入されず、その翌日から計算されます。

休職を命ずるのですから休職となる日を明確にして本人に口頭または文書で通知しなければなりません。

口頭で行っても有効ですが、後で争いが起こった場合を考えますと、文書で行うのが確実といえましょう。

「休職期間が満了したときは社員の地位を喪失する」と規定され、休職期間満了までにその原因が解消されないときは、労働契約が終了する旨が当初より定められていますから、休職期間の満了により自動的に労働契約が終了し、解雇に当たらないと考えられます。

したがって、私傷病休職期間が満了する1ヵ月前に解雇予告をする必要はありません。

【平成16年:事例研究より】