私病で休業中の社員が週休日にも年休申請、賃金増をめざす行使を認めるべきか【平成4年:事例研究より】

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当社では、私病休業について、本人から年次有給休暇の申請があれば、私病休業をはじめた最初の日から、本人が申請した任意の期間だけ年休への振替えを認めています。

労基法の精神からいって週休日の年休取得はできないと思いますが、長期私病については、休日であっても私病であり、賃金増収を図る意味で、休日への年休充当は認められませんか。

【福井・S社】

年次有給休暇(年休)は、賃金の減収を伴うことなく所定労働日に休養きせるために付与されるものです。

つまり、労働日の労働義務を免除し、その賃金を保障するものですから、年休を行使するには、労働義務がある日(労働日)が前提となります。

はじめから労働義務のない休日その他労働義務が課せられていない日には、年休を行使する余地はありません。

ですから、就業規則などで定められた所定休日、労基法第35条で定められた1週1回、4週4日のいわゆる法定休日はもちろんのこと、法を上回って与えられている国民の祝日、週休2日制による土曜休日などであっても、免除させる対象がないわけですから、その日に年休をあてることはできません。

このことは、病気療養中の場合も全く同じです。

休職となる前の私病休業期間中は、労働日である限り免除する労働義務が存在しますので、年休の請求(時季の指定)があれば年休を与えなければなりませんが、その期間中に含まれている休日を年休とすることはできません。

私病休業期間中といえども、 休日は労働義務のない日で、免除すべき労働義務が存在しないからです。

長期療養中で、休日であっても私病であり、就労できないことは労働日、休日を問わず同じであっても、休日に年休を行使できません。

休日を除いた日を年休日数としなければなりません。

休日に年休をあて、年休の賃金を支給しても、年休を与えたことにならず、年休の買上げと同じ結果になります。

年休の買上げは違法となります。

【平成4年:事例研究より】