トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)
当社では、私病休業について、本人から年次有給休暇の申請があれば、休業をはじめた日から申請した期間だけ年休への振り替えを認めています。
休日の年休取得はできないとのことですが、休日であっても私病であり、賃金増収を図り早く健康保険の傷病手当金を受給する意味で、休日へ年休を充当する方法はとれないのでしょうか。
【広島・S社】
年次有給休暇は、賃金の減収を伴うことなく所定労働日に休養させるために付与されるものです。
労働日の労働義務を免除し、その賃金を保障するものですから、年休を行使するには労働義務のある日(労働日)が前提となります。
はじめから労働義務のない休日その他労働義務の課せられていない日には、年休を行使する余地はありません。
ですから、就業規則などで定められた所定休日、すなわち労基法第35条で定められた1週1回、4週4日の法定休日はもちろん、週休2日制による土曜休日、祝日であっても、免除させる対象がないわけですから、その日に年休を与えることはできません。
また、休日出勤を命じられた労働者が、その休日に年休を請求してきた場合、休日は労働契約上労働義務がない日ですから、休日に労働を命じたとしても、その休日が労基法第39条にいう労働日になるものではありません。
したがって、労働者としては休日に年休を請求する余地はありませんし、使用者としては休日に年休を与えることはできません。
このことは、病気療養中の場合も全く同じです。
休職となる前の私病休業期間中は労働日である限り免除する労働義務が存在しますので、年休の請求があれば与えなければなりませんが、その期間に含まれる休日を年休とすることはできません。
私病休業期間中といえども、休日は労働義務のない日で、免除すべき労働義務は存在しないからです。
病気休業中で、就労できないことは、労働日、休日を問わず同じであっても、休日に年休を行使することはできません。
本人が申請した期間(日数)だけ年休への振り替えを認めているとのことですが、その期間は休日を除いた日数となります。
健康保険の傷病手当金は、療養のため労務不能となった日から起算して第4日目から支給されます。
労務不能となった日から起算して3日間は待期期間として傷病手当金は支給されません。
療養のため欠勤開始の日から3日間の年休として処理した場合でも、その3日をもって待期期間は完成し、傷病手当金は給与計算上の欠勤開始日(第4日目)から支給されます。
待期期間が完成した第4日目以降に年休を与えれば、その日には年休の賃金が支払われ、額は傷病手当金の額以上ですから傷病手当金は支給されません。
私傷病休業の開始日から本人が申請した期間だけ年休に振り替えた場合、その期間内の休日も加算され、年休が終了した日の翌日から傷病手当金が支給されます。
【平成16年:事例研究より】