産前休暇を法より長期間の設定をし無給とすることは違法か【平成4年:事例研究より】

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就業規則で産前休暇を「出産予定日前7週間以内で本人が請求した期間。

ただし、多胎妊娠の場合は10週間以内。

無給」と定めることは労基法違反となりませんか。

休暇が無給なのに、産前休暇を労基法第65条に定める6週間より長期間(7週間)と設定する点。

産前休暇7週間を取得し、7週間を超えて出産した場合、7週間を超えた日から出産日までの期間は、「私事による欠勤」としてよいですか。

【宮城・S社】

労基法第65条は、産前産後の休業期間を定め、産前6週間(多胎妊娠の場合は10週間)、産後8週間としています。

産前の休業は女子の請求が条件となっており、請求がなければ就業禁止に該当しません。

就業規則で産前休暇を7週間と定めても、請求が条件となっていますので、法を上回る扱いで違法となりません。

必ず産前7週間休ませるというものでなく、請求すれば最長7週間が産前休暇扱いされるというものですから、たとえ無給であっても、問題はありません。

就業規則の定めで産前休暇を7週間とした場合(法定の6週間の場合も同様)、その7週間の期間は医師の診断による自然の分娩予定日を基準として計算します。

予定日を基準として7週間以内の請求であれば適法で、予定日より7週間前から産前休暇に入ったところ、7週間を超えて出産した場合には、予定日から出産当日までの期間は、産前休暇として取り扱わなければなりません。

7週間を超えた日から出産日までの期間は、「私事による欠勤」扱いすることはできません。

予定囗と実際の出産日も一致しませんので、産前7週間の予定は延長したり、短縮したりすることがあるわけです。

産前8週間は現実の出産日を基準として計算するものですから、産前休暇の期間に関係なく、出産日の翌日から8週間は産前休暇として取り扱わなければなりません。

実際の出産が予定日より遅れたことにより、産前休暇が7週間を超えても、その超えた日数だけ産前休暇を短縮することはできません。

産前産後の休業期間の計算について、行政解釈は「産前6週間の期間は自然の分娩予定日を基準として計算するものであり、産後8週間は現実の出産日を基準としているものである」(昭26・4・2婦発第113号)としています。

【平成4年:事例研究より】