生理休暇を有給に扱い、取得した月の精皆勤手当はカットしているが問題あるか【平成4年:事例研究より】

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当社では、女子の生理休暇について、毎周期2日まで有給としています。

しかし、精皆勤手当の支給に当たっては、生理休暇を取得した日は欠勤扱いされています。

このため、生理休暇は有給としながら、皆勤手当に影響させ、精皆勤手当を減額、または不支給とするのはおかしいという声が上がっています。

会社は一貫して欠勤扱いといっているのですが、有給としながら、一方で精皆勤手当をカットすることは許されるのでしょうか。

【岐阜・O労組】

労基法第68条は「生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定しています。

生理であることのみをもって休暇を請求することを認めたものではありませんが、現実に生理日の就業が著しく困難な状態にある女子が休暇を請求したときは与えなければならず、与えないことは違法となります。

しかし、生理休暇中の賃金については、「労働契約、労働協約または就業規則で定めることによって支給しても、しなくても差し支えない」(昭23・6・11基収第1898号、昭63・3・14基発第150号、婦発第47号)とされています。

法は有給であることまでは要求していないわけです。

就業規則などで生理休暇の日数を制限することは許されませんが、就業規則で有給の生理休暇は2日と定めてあっても、それ以上無給の生理休暇を与えることが明らかにされていれば差し支えありません。

一方、精皆勤手当は、精皆勤を奨励することを目的とした手当で、その支給条件をどのようにするかは、当事者が自由に定めることができるものです。

生理休暇をとった日は、現実に就労しておらず、労基法も出勤扱いを要求していませんから、欠勤扱いでもよいわけです。

生理休暇を有給としながら、精皆勤手当の支給条件で欠勤扱いし、精皆勤手当が減額、不支給とされても、ただちに違法とはいえません。

生理休暇が有給であっても、その有給によって、就業しなかったという事実が消えるものではないからです。

しかし、生理休暇をとった日を欠勤扱いし、精皆勤手当を減額することは、その減額幅にもよりましょうが、生理休暇をとることを抑制する作用をもち、法の趣旨に照らし好ましいものでありません。

行政解釈は、「労基法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女子が生理日に休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない旨を規定するのみであり、賃金の支払いを義務づけていないことから、これらの取扱いについては労使間において決定されるべきものであるが、当該女子に著しい不利益を課することは法の趣旨に照らし好ましくない」(昭49・4・1婦収第125号、昭63・3・14基発第150号、婦発第47号)としています。

本来、労使間で決めるべき問題ですから、話し合いによって、できることなら、生理休暇の取得を精皆勤手当に影響させないようにすべきでしょう。

なお、年次有給休暇を取得した日を欠勤扱いして、精皆勤手当を減額することは許されません。

【平成4年:事例研究より】