残業限度を超えた分を休日で相殺したいが、できるか【平成16年:事例研究より】

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当社の勤務時間は、午前8時30分〜午後5時30分(休憩1時間)で、実働8時間となっています。

残業削減策として、1ヵ月の残業限度を20時間とし、それを超えた分については8時間を単位として休日を与え相殺することを考えていますが、法的に問題はないでしょうか。

【兵庫・T社】

1ヵ月の残業限度を20時間とし、それを超えた分については1日の所定労働時間8時間単位として休日を与えることにしても、休日を与えること自体は問題はありません。

その休日は代休的な性格のものと考えられます。

代休とは、休日労働や長時間の時間外労働、深夜労働が行われた場合に、その代償措置として以後の特定の労働日の労働義務を免除するものです。

代休を与えたとしても、代休を与えることによって、現に行われた時間外労働が時間外労働でなくなるものでありません。

代休を与えても、20時間はもちろん、20時間を超え8時間単位で代休を与えた時間にも、時間外労働の割増賃金(125%)を支払わなければなりません。

一方、代休を与えた日は就労しているわけではありませんから、就業規則、労働協約の定めにより無給とすることができ、無給であれば代休を与えて不就労となった時間分の賃金を差し引くことができます。

代休を与えた場合、その8時間の時間外労働には125%の割増賃金を支払い、代休を与えた日の賃金1日分(8時間)を別途差し引く結果、25%の割増分のみが支払われることになります。

これは、100%は代休で支払い(代休により通常の賃金部分が相殺の形となる)、25%の割増賃金を支払うと同様の結果となります。

結果的にそうなるということであって、代休を与えることによって、時間外労働の割増賃金が25%となるものではありません。

8時間単位で代休を与えた分についても、きちんと割増賃金を支払い、別途、通常の賃金から代休を与えた日の賃金(100%)を差し引く扱いをしなければなりません。

ある月に20時間を超える8時間の時間外労働があり、その月に代休を与えることができず、代休を翌月に持ち越した場合、代休の日の賃金を差し引かないということで、その月の賃金支払日に25%の割増分しか支払わない扱いをしますと、100%の部分が翌月以降に持ち越されることになり、これは労基法第24条の全額払いに違反することになります。

【平成16年:事例研究より】