残業時の休憩は時間比例で与えるか【平成16年:事例研究より】

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当社の就業時間は、始業午前8時30分、終業5時30分、休憩正午から1時間で実労働8時間、拘束9時間となっています。

残業をやるとき残業時の休憩時間を与えなければならないと思いますが、残業時間何時間につき何分というような法的な定めがあるのでしょうか。

他社の就業規則で2時間につき10分という規定をみたことがあります。

【宮城・T社】

労基法は、ある程度労働時間が継続した場合に蓄積される労働者の心身の疲労を回復させるために、労働時間の途中に休憩時間を与えるべきことを定めています。

労基法第34条第1項では「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定しています。

この労働時間とは、通常の所定労働時間だけではなく、残業時間を含む1勤務の実労働時間の意味です。

所定労働時間と8時間を超える残業時間(時間外労働時間)を切り離して休憩時間を考える必要はありません。

所定労働時間と残業時間を合計した1勤務の実労働時間が8時間を超える場合、超える時間が何時間であっても、最低1時間の休憩時間が与えられていれば違法となりません。

行政解釈は、残業が数時間に及ぶ場合にも、1時間の休憩時間が与えられていれば法規上違法ではないとしています(昭22・11・27基発第401号)。

ご質問の場合、1日の実労働時間は8時間となっており、その所定時間中にすでに1時間の休憩時間(正午から1時間)が与えられていますので、残業の途中に休憩時間を与えなくても、法律上は違法となりません。

残業する場合でも、最低1時間の休憩時間が与えられていれば適法なわけですから、昼休み1時間の休憩時間と別に残業時の休憩時間を考える必要はなく、残業何時間につき何分の休憩時間を与えるというような法的な定めはありません。

しかし、残業時間が長時間に及ぶ場合には、夕食の問題も出てきますし、疲労回復、安全衛生の観点から適切な休憩時間を与えることを考えるべきです。

残業時の休憩時間は労働時間の長短、作業の性質、作業環境などあらゆる面から検討し、その長さと位置を定めるべきものと思われます。

他社の就業規則にある残業2時間につき10分の休憩時間を与えるような法律上の規定はありません。

ただし、就業規則などで残業2時間につき10分の休憩時間を与える定めになっている場合は、その定めに従って与えなければなりません。

もし、昼休みの休憩時間が45分という場合であれば、所定労働時間8時間のときは差し支えありませんが、残業をやって労働時間が8時間を超えるときは、少なくとも15分の休憩時間を残業時に追加して与える必要があります。

【平成16年:事例研究より】