残業が10分、20分超過したとき、一残業ごと15分をさかいに切り上げ、切り捨てでよいか【平成4年:事例研究より】

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残業の場合、1時間とか2時間の残業の予定が10分とか20分超過する場合があります。

きちっと1時間とか、2時間で終わればよいのですが、そうもいきません。

1時間未満の端数が生じるため、残業時間の集計が非常に面倒です。

そこで、一残業ごとに15分未満は切り捨て、15分以上は30分に切り上げて処理したい考えですが、このような方法は可能ですか。

【新潟・K工業】

事務合理化の目的であっても、ご質問のように一残業ごとに(1日単位で)15分未満は切り捨て、15分以上は30分に切り上げて処理することは許されません。

もし、一残業ごとに15分単位で四捨五入が認められますと、運用のいかんによって1時間15分とか1時間44分の残業をやらせ、常に15分未満の残業の端数が切り捨てられるという事態も生じるからです。

残業時間に端数が生じた場合、1分といえども労働時間であることに変わりはありませんから、端数をつけたまま1ヵ月集計し、1ヵ月の合計残業時間に端数が生じた場合、ご質問にあるように15分未満は切り捨て、15分以上は30分に切り上げることはできます。

端数の整理について、行政解釈(昭63・3・14基発第150号)では、以下の1.〜3.は常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び法第37条違反としては取り扱わないとしています。

1.1ヵ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。

2.1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

3.1ヵ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2.と同様に処理すること。

その月の合計残業時間につき、30分未満の端数は切り捨て、30分以上1時間未満の端数は1時間に切り上げて端数処理することは許されています。

残業時間を30分単位で計算するのであれば、一残業に生じた分単位の端数はそのまま・記録しておき、一賃金計算ごとに集計し、その月の合計残業時間に生じた端数は、15分未満は切り捨て、15分以上を30分とすべきです。

【平成4年:事例研究より】