欠勤しても給料は控除しない契約で嘱託社員を採用、残業に手当が必要か【平成4年:事例研究より】

トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)

給与固定給、日曜・祝祭日・土曜(第1、第3、第5)休み、原則として残業はさせない、欠勤しても給料は控除しないーという条件で、現場において嘱託社員を雇用しました。

現場作業のため、たまに残業がありますが、欠勤しても給料は控除しない嘱託社員であっても、残業手当は支払わなければなりませんか。

固定給を、本給20万円、調整給1万円、計21万円とし、調整給は残業手当に代わるものとした場合にはいかがでしょうか。

なお、1日の労働時間は8時間となっています。

【埼玉・K製作所】

当面の法定労働時間は、1週44時間(猶予事業は46時間)、1日8時間とされています。

いずれも法定労働時間であることに変わりなく、法定除外事由(たとえば時間外労働に関する三六協定の締結)がなく、1週間の法定労働時間あるいは1日の法定労働時間のいずれか一方について、制限を超えて労働させた場合には違法となります。

1日の労働時間は8時間、日曜・第1・第3・第5土曜休日とあり、貴社は猶予事業で週46時間が適用されているものと思われます。

1週に2日の休日のある週は週40時間労働となりますが、1週に1日の休日しかない週は週48時間となり法に抵触することになりますので、1ヵ月単位の変形労働時間制により、週46時間をクリアしているものと考えられます。

したがって、1日8時間と定められた日は8時間まで、1週46時間を超えて労働させることが定められている週については46時間を超えて、その定められた時間(48時間)まで労働させることができます。

1日8時間を超えて労働ざせた場合には、超えた時間は時間外労働となり、時間外割増賃金を支払わなければなりません。

「欠勤しても給料は除外しない嘱託従業員であっても、残業手当を支払わなければならないか」とあり、三六協定の締結、届出がなされ、正社員の残業には残業手当(時間外割増賃金)が支払われているものに考えられます。

嘱託社員として雇用している者であっても、労基法が適用される労働であることに変わりありませんので、8時間を超えた時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければなりません。

嘱託社員であるとか、欠勤しても給料は控除しないことを理由に、時間外労働に対して割増賃金を支払わないということはできません。

たとえ、欠勤しても給料は控除しない完全月給制あっても、時間外労働に対して割増賃金を支払わなければならないものです。

次に、固定給を本給、調整給とし、調整給は時間外手当として支給する場合ですが、調整給は時間外手当である旨明確にしておく必要があります。

調整給が時間外手当であると認識されていれば、実際に支払われた割増賃金(調整給)が法定の計算による割増賃金を下回らない限り、違法といえません。

しかし、調整給が実際に行った時間外労働に対して支払うべき割増賃金を下回る場合は違法となります。

調整給が割増賃金を下回る月には、その差額を割増賃金として追加支給しなければなりません。

以上のようにいえても、毎月割増賃金に見合う定額を時間外労働のあるなしにかかわらず支払うのは、決して好ましい方法ではありません。

実際の時間外労働に応じた割増賃金を、法所定の計算方法によって支払うようにすべきです。

【平成4年:事例研究より】