店舗改装で仕事がないパートを休ませるか休業手当か必要か【平成4年:事例研究より】

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食品スーパーの当社は、3店舗のうちの1つを、約50日かけて全面改装することになりました。

この間、パート従業員は実際業務がなくなってしまいますので、休みとなるわけですが、給与面の扱いはどうしたらよいでしょうか。

【神奈川・M社】

店舗改装中、実質業務がなくなってパート従業員を休ませれば、労基法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、使用者は、休業期間中、平均賃金を100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。

平均賃金とは、これを算定すべき事由が発生した日以前3ヵ月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額をいいます。

休業手当の場合は、休業の初日が「算定事由が発生した日」となります。

「以前3ヵ月」は、賃金締切日がある場合には、暦日数で計算するよりも、賃金締切日の期間によって計算したほうが簡便ですので、その3ヵ月は算定事由が発生した日の直前の締切日から起算されます。

一般に毎月1回の賃金締切日が定められており、これを起算日としてさかのばった3ヵ月間(3賃金締切期間)をとって計算します。

パート従業員のように賃金が日給制や時間給制で計算される場合、その3ヵ月の間に欠勤日数が異常に多いときは、その平均賃金も異常に低額となります。

このような場合のために、算定期間中の賃金の総額をその期間中に実際に労働した日数で除した金額の100分の60を最低保障額としています。

原則的な方法で計算した平均賃金がこの最低保障額に満たないときは、この最低保障額が平均賃金となります。

このように計算した平均賃金の100分の60を支払わなければならないわけですが、100分の60を超えて(たとえば100分の70)を支払うことも自由です。

休業手当は、休業期間に対して支払われますが、就業規則または労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じません。

休業手当は労基法第11条の賃金ですから、第24条が適用され、定められた賃金支払日に支払わなければなりません。

【平成4年:事例研究より】