年休発生を1月1日に統一、入社日により出勤日数か年間勤務日の8割未満者には初年度6日与えているが最低付与日数で違法か【平成4年:事例研究より】

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当社では、年次有給休暇の付与は、実際の入社日を基準とせず、毎年1月1日を有給休暇付与の基準日としています。

従業員が入社した年(同年12月31日まで)の出勤率8割未満の者は6労働日、8割以上の者は8労働日の有給休暇を与えています。

法定付与日数をクリアしているようにみえますが、出勤率の算定方法が「1月1日から12月31日までの総労働日数をもって出勤日数を除す」ため、実際には、入社した翌年の1月1日に6日が付与されることになります。

今回の改正により平成3年4月以降この点が問題となりますが、たとえば、平成3年4月10日入社として、4年1月1日に付与すべき日数は8日でないと法違反でしょうか。

4年1月1日に6日、5年1月1日に8日では法違反でしょうか。

なお、当社は従業員300人未満です。

【広島・T産業】

年次有給休暇(年休)の最低付与日数は6日から10日に引き上げられていますが、300人以下の事業場は猶予期間が設けられ、最低付与日数は昭和63年4月1日から平成3年3月31日までの3年間は6日、平成3年4月1日から平成6年3月31日までの3年間は8日とされています。

平成6年4月1日からは10日となります。

300人以下の最低付与日数は4月1日から8日となります。

貴社も年休の最低付与日数を8日に引き上げなければなりません。

付与日数の引き上げは、単に最低付与日数だけではなく、勤続2年以上の者にも必要な付与日数を増やさなければなりません。

最低付与日数8日への引き上げは、平成4年4月1日以降の最初の基準日(1年間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、その継続勤務が終了した日の翌日)から適用されます。

貴社は、年休の基準日を1月1日とされていますから、平成3年4月1日以降の最初の基準日、つまり平成4年1月1日から付与日数を引き上げなければなりません。

年休の基準日を貴社のように毎年1月1日に統一する場合、1月1日の前日つまり12月31日までに1年未満の勤続期間しかない者について、1年の継続勤務があり、しかもその勤務とみなした残余の期間中は実際にも出勤があったものとして、法定日数(1年未満の者は8日)の年休を与えなければなりません。

平成3年4月10日に入社した者については、平成4年1月1日に8日の年休を与えなければなりません。

「1月1日から12月31日までの総労働日数をもって出勤日数を除す」ため、8割未満の出勤率しかなく、平成4年1月1日に6日の年休しか与えませんと、同年4月9日までに8割以上の出勤率を満たした場合、8日与えられなければならないのに6日しか与えられておらず、同年4月10日以降が違法となります。

平成3年1月1日に8日を与えても同年4月10日以降(法定日数は9日)が違法となります。

平成4年1月1日に8日、5年1月1日に9日を与えなければなりません。

【平成4年:事例研究より】