年休の計画付与で夏休みを増やしたいが就業規則の変更が必要か【平成4年:事例研究より】

トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)

当社は、夏休みを8月13日〜16日の4日としていますが、これに年次有給休暇の2日(12日と17日)の計画的付与で、日曜の11日から18日の日曜日まで8連休にすることを考えています。

当社は労働組合がなく、過半数代表者と計画年休の協定を結び実施しますが、労使協定だけではダメで就業規則の変更も必要なのでしょうか。

なお、年休の計画付与は初めてです。

【千葉・S工業】

労基法第39条第5項により、年次有給休暇(年休)について労使協定を条件に計画付与できることになっています。

同項は「使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時期に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる」と規定しています。

計画付与の対象とすることができるのは、各人の有する年休日数のうち5日を超える部分です。

たとえば、年休日数が10日の労働者は5日、20日の労働者は15日までが計画付与の対象となります。

年休め計画付与の要件として、過半数労働組合あるいは過半数代表者と労使協定を締結しなければなりませんが、貴社は過半数代表者と協定を締結しなければなりません。

年休の計画付与をする場合には、労使協定で年休を与える時季に関する定めをする必要があります。

事業場全体の休業による一せい付与の場合には、具体的な条件の付与日(8月12日と17日)を労使協定で協定します。

事業場全体の休業による一せい付与の場合、年休のない人、計画年休とする年休日数の足らない人については、特別の休暇を与える、計画年休と同日数の年休を付与するなどの措置を講じ、賃金面で不利益が伴わないようにすることが望ましいのですが、そのような措置をとらずに休業させる場合には少なくとも労基法第26条の休業手当の支払いが必要となります。

この取り扱いについても、協定の締結にあたって定めておく必要があります。

この労使協定は、所轄労基署長への届出は不要です。

ご質問は、労使協定と合わせて就業規則にも定める必要があるかということですが、労使協定に拘束されることを就業規則に明記しておくことが必要です。

計画年休に関する労使協定が締結された場合、この協定の刑事上の免責的効力はその事業場のすべての労働者に及びます。

しかし、民事上の効力は、過半数代表者と結ばれる労使協定の場合、別途就業規則などの根拠が必要であると考えられます。

また、労基法第89条は、就業規則の絶対的必要記載事項として休暇をあげていますので、計画年休を実施するのであれば就業規則に記載しなければなりません。

就業規則には、「労使協定により年休の計画付与を締結した場合には、当該協定に定めるところにより、計画的に年休を付与するものとする。

従業員は、協定で除外される場合を除き、協定に定めるところにより年休を取得するものとする」など基本的事項を定めておく必要があります。

これで計画年休の労使協定が締結された場合、それに従わなければならないことが明確になります。

就業規則の変更は、所轄労基署長への届出が必要です。

【平成4年:事例研究より】