年休の翌年繰り越し日数を一定日数に限定することは可能か【平成4年:事例研究より】

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年次有給休暇は、翌年まで繰り越しが定められていますが、その繰越日数を一定の日数(たとえば10日)までに限定することができますか。

または繰越日数と合わせて最高日数を何日というように限度を設けることができますか。

【兵庫・A社】

労基法第115条は「この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は、2年間……行わない場合においては、時効によって消滅する」と規定しています。

行政解釈は、この「その他の請求権」を、この法律によって労働者が請求しうる権利と解し、年次有給休暇(年休)の権利は「法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる」(昭22・12・15基発第501号)と、しています。

したがって、年度中に行使されなかった年休の権利は翌年度に限って繰り越されます。

年休の権利は2年間行使できるものですから、翌年への繰越日数を一定の日数(たとえば10日)までと限定することはできません。

就業規則で「年次有給休暇は翌年度に繰り越すことはできない」と定めても、「できるだけ年度内に年次有給休暇を取らせる趣旨の規定を設けることは差支えないが、かかる事項を就業規則に規定しても、年度経過後における年次有給休暇の権利は消滅しない」(昭23・5・5基発第686号)とされています。

また、前年からの繰越日数とその年に新たに発生した日数を合わせて、最高日数を何日と限度を設けることもできません。

継続勤務11年以上のときは、その者の年休は20日となり、その年度に1日も行使せず、新たに20日の年休を取得したとすれば、計40日の年休が付与されることになります。

【平成4年:事例研究より】