就業規則に記載する所定労働時間は、拘束時間か実労働時間か【平成16年:事例研究より】

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1.「所定労働時間」とは、拘束時間を指し、休憩時間を含むものと解してよいのでしょうか。

それとも、2.実労働時間を指し、休憩時間を含まないもの解すべきでしょうか。

就業規則に記載する所定労働時間は1.2.のいずれによるべきかお教え下さい。

【神奈川・N社】

所定労働時間とは、その事業場において定められた実労働時間ですから、たとえば、1日の労働時間(いわゆる拘束時間から休憩時間を除いた時間)が就業規則で7時間と定められている場合には、その7時間が所定労働時間です。

就業規則に定められた始業時刻から終業時刻に至る時間はいわゆる拘束時間であって、そのなかに労働時間と休憩時間が含まれます。

休憩時間は拘束時間のなかにあって、労働者が労働から解放されて自由に利用できる時間ですから、労働時間に含まれません。

したがって、所定労働時間は2.の実労働時間を指し、休憩時間を含まないものです。

就業規則に記載しなければならないのは、「始業および終業の時刻」です(労基法第89条)。

始業および終業時刻は、就業規則の絶対的必要記載事項であり、必ず記載しなければなりません。

始業および終業の時刻は、その事業場の所定労働時間の開始時刻と終了時刻で、これによって休憩時間に関する規定と相まって、所定労働時間の長さと位置を明確にしようとするものです。

行政解釈は「就業規則はその事業場における具体的な労働条件を定めなければならないものであるから、例えば労働時間については『1日8時間とする』というような規定だけでは法第89条第1号の要件を充さないものである」(昭24・11・24基発第1296号、平11・3・31基発第168号)としています。

ご質問では、就業規則に所定労働時間を記載する際とありますが、休憩時間を除いた1日の所定労働時間を、たとえば7時間30分とする記載だけでは足りません。

始業および終業の時刻を記載し、休憩時間の長さを明確にし、それによって所定労働時間の長さと位置を明確にしなければなりません。

同一事業場において、労働者の勤務態様、職業等によって始業および終業の時刻が異なる場合には、就業規則に勤務態様、職種等の別ごとに始業および終業の時刻を規定しなければなりません。

ただし、パートタイム労働者等のうち本人の希望により始業および終業の時刻を画一的に定めないこととする者については、基本となる始業および終業の時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等で定める等の委任規定を設けることで差し支えありません。

なお、個別の労働契約等で具体的に定める場合には、書面により明確にすることが必要です。

また、労基法第41条第3号の監視または断続的労働に従事する者で、許可を受けた者についても、始終業時刻を定めなければなりません。

【平成16年:事例研究より】