就業規則で休日振替を明記しているも拒否者が多く困る。一方的な振替えを実施できないか【平成4年:事例研究より】

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休日については、就業規則に「業務上の都合により必要がある場合には、休日を他の勤務日と振替えることがある」旨の規定があります。

それに従って休日の振替えを提案しますと、暦どおり休めば何も振替えて休む必要はないという者が多くて困っています。

業務上の都合でどうしても休日の振替えが必要な場合、一方的に振替えを実施するのは問題がありますか。

【兵庫・T工業】

休日とは、労働義務のない日であり、これを会社の都合で一方的に他の日に振替えることができるかという疑問は当然生じます。

しかし、休日と定められた日が、絶対的に労働から解放されたものかといえば、必ずしもそうではなく、労働契約の内容いかんによります。

労働契約の内容が、業務の都合によって、休日を他の日に振替えることができることになっていれば、休日の振替えができます。

したがって、就業規則等に休日を振替える旨の規定があれば、それに従って休日を振替えることができます。

行政解釈も「就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合、休日を振替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振替える前にあらかじめ振替えるべき日を特定して振替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない」(昭23・4・19基発第1397号、昭63・3・14基発第150号)としています。

休日の振替えの手続きとしては「業務等の都合によりあらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とするいわゆる休日の振替えを行なう場合には、就業規則等においてできる限り、休日振替の具体的事由と振替えるべき日を規定することが望ましい。

なお、振替えるべき日については、振替えられた日以降できる限り近接している日が望ましい」(昭23・7・5基発第968号、昭63・3・14基発第150号)としています。

休日の振替えは、事前に振替えるぺき日を特定して行わなければなりません。

また、休日の振替えは4週4日の休日が確保されるものでなければなりません。

就業規則の規定に従って適法に休日の振替えが行われた場合には、労働者の同意、了解がなくても差し支えありません。

労働者は、振替えによって労働日となった休日に労働する義務があります。

就業規則に従って休日を振替えた場合、休日労働をさせたことになりませんので、その日の労働については割増賃金を支払う必要はありません。

しかし、休日の振替えをしたため、週の法定労働時間44時間(猶予事業は46時間)を超えて労働させることになれば、超えた時間は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要になります。

行政解釈は、「就業規則に定める休日の振替規定により休日を振替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働とはならないが、振替えたことにより当該週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する三六協定及び割増賃金の支払が必要である」(昭22・11・27基発第401号、昭63・3・14基発第150号)としています。

休日の振替えは、休日の規定との関係で問題はなくても、時間外労働に注意する必要があります。

時間外労働の問題を避けるには、同一週に振替えるか、1ヵ月単位の変形労働時間制を採用し、その変形期間がはじまる前に振替えが必要です。

【平成4年:事例研究より】