子会社へ社員を出向、出向元で保有していた年休はどうなる【平成4年:事例研究より】

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出向元(親会社)では従業員の身分を有する者(管理職)が、出向先(子会社)で代表取締役となる場合があります。

この場合、本人が出向元で保有している年次有給休暇はどうなりますか。

また親会社に復帰したとき、年次有給休暇の付与はどうしたらよいでしょうか。

さらに社会保険や雇用保険の被保険者資格の取り扱いについてもどうなるか教えてください。

【神奈川・T労組】

在籍出向の場合、出向した労働者についてみれば、出向元と出向先と二つの雇用関係を同時に有することになり、この両者を統合したものがその労働者の労働関係ということになりますので、出向元における勤務時間を通算して断続勤務しているものと解されます。

したがって、在籍出向している労働者については、出向元における勤務期間を通算した勤務年数に応じた年次有給休暇を付与しなければなりません。

本人が出向元で保有していた年次有給休暇は、そのまま出向先で存続しま:す。

出向元に復帰したときは、出向元、出向先を通算した勤務年数に応じた年年次有給休暇を付与します。

健康保険、厚生年金では、出向した場合、原則として従前勤務していた事業所の使用関係は消滅し、出向先の事業所で使用関係が発生しますので、出向元の被保険者資格は喪失して、出向先で新たに被保険者資格を取得することになります。

雇用保険では、出向により同時に二つの雇用関係を有する出向者については、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者となります。

ご質問は、代表取締役として出向した場合ですから、出向先では被保険者になれませんので、出向元で被保険者資格を継続することになります。

【平成4年:事例研究より】