半日年休2回で1日とする処理は違法か【平成16年:事例研究より】

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年次有給休暇は、労働者が請求したときに与えなければなりませんが、業務の都合で1日休むことができず、半日の年休(午前あるいは午後)を請求した場合、その請求どおり半日の年休を与えてよいものでしょうか。

午前(3時間)、午後(4時間)と時間が異なりますが、半日の年休2回で1日の年休として処理してよいでしょうか。

【青森・T社】

労基法第39条第1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しています。

10労働日という文言を使用し、労働日単位を表している関係から年休の最低単位は1日と解されます。

労基法第39条に規定されている法定の年休は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図り、また、ゆとりある生活の実現にも資するために付与されるものですから、1労働日以下に分割することは、本来予定されていないものです。

したがって、その取得は、原則として1労働日を単位として行われるべきものです。

しかし、年休を半日単位で与えることも可能となっています。

法第39条第1項に継続又は分割した10労働日となっているが、半日ずつ請求することができるかという問に、「法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」(昭24・7・7基収第1428号、昭63・3・14基発第150号)としています。

一見、半日単位の年休を認めたようには読めませんが、「付与する義務はない」にとどまりますから、労使の合意により半日単位の年休取得を認めても差し支えないという解釈になります。

半日単位の年休の請求があっても、使用者はそれに応ずる義務はありませんが、労使間の合意により半日年休制度を設け、半日単位で与えることも可能です。

労働者が半日単位の年休取得を希望し、使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による年休取得の阻害とならない範囲内で適切に運用されている限り、法第39条の違反として取り扱われないといえます。

年休を半日単位で付与するにあたって、就業時刻のどの時刻を中心に前半と後半に分けるかは、労使の合意により決定すべきものです。

必ずしも前半と後半が同じ時間になるように分割しなければならないことはありません。

所定労働時間が午前9時〜午後5時30分(休憩正午から1時間)の場合、昼休みの休憩時間を考えますと、午前(3時間)、午後(4時間30分)に分けるのが一般的です。

午前と午後で時間が異なっていても、半日年休の取得2回で1日の年休として処理することになります。

【平成16年:事例研究より】