トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)
現在、出産休暇に入っている女子がいます。
もれ聞くところによると、出産休暇終了後に退職したい意向のようですが、産後休暇8週間をがっちりとり、さらに残っている年次有給休暇を全部とってから退職するようです。
出産休暇のうえ、さらに年休というのはどうかと思われます。
産休明けに出勤することなく退職する場合でも年休を与えなければなりませんか。
年休は認めず、産休が終わった時点で退職処理できませんか。
【宮城・M社】
年次有給休暇(年休)の権利は、労働関係が存続している間は行使できる権利ですから、労働関係がある間は労働者はいつでも自由に年休を請求できます。
退職することが明らかな場合でも、実際に退職するまでは、年休を請求してくれば与えなければなりません。
出産休暇に引き続く年休であるとか、退職していくことが明らかであるとかの理由で与えないことはできません。
なお、産後8週間は就業させてはならない(労働義務はない)のですから、年休ということはあり得ません。
この期間は年休の請求があっても与えなくて差し支えありません。
したがって、年休の請求は産後休暇が、終わった以降となります。
労働者から請求された時季に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者に時季変更権が認められていますが、時季変更権を行使するには、変更して与える他の日がなければなりませんので、退職日を超えての時季変更権を行うことはできません。
解雇予定日が20日前後である労働者が20日の年休を有している場合、労働者の年休請求に対し、行政解釈は「当該20日間の年次有給休暇の権利が労基法に基づくものである限り、当該労働者の解雇日をこえての時季変更は行えないものと解する」(昭49・1・1基収第5554号)としています。
出産休暇を目いっぱい休業し、それに引き続いて年休をとり、年休をとり終った時点で退職するという場合でも、請求どおりに年休を与えなけれぱなりません。
労基法第19条は、「使用者は産前産後の女子が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と規定しています。
出産当日の翌日から8週間とその後30日間は解雇が制限されています。
産後休暇が終わった時点で、一方的に退職処理(解雇)することはできません。
申し出どおり年休の終わった時点で退職処理しなければなりません。
【平成4年:事例研究より】