出産休暇を賞与、昇給の考課時に欠勤扱い。女性差別になるか【平成4年:事例研究より】

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私は、ある会社に勤務する女性ですが、当社では、出産休暇日数を欠勤としてカウントし、賞与、昇給に影響させています。

日数が少ない者でも最低12週間の出産休暇をとりますので、その年の昇給は最低ランクとされ、賞与も大幅な減額とされます。

男女雇用機会均等法の関係からも、このような女性差別は許されないと思いますが、どうですか。

【宮城・Y子】

労基法第65条は、女子労働者の産前産後の休業を定め、「産前6週間(多胎妊娠の場合は10週間)、「産後8週間」としています。

産前の休業は、女子の請求が条件となっており、請求がなければ就業停止に当たりません。

産後の休業は、女子の請求を条件とするものではなく、産後8週間を経過しない女子は、請求の有無を問うことなく、就業させられません。

ただし、産後6週間を経過後は、本人の請求を条件として、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは認められています。

産前産後の休業期間中の賃金については、労基法は有給とも無給とも規定していません。

労働契約、就業規則などで定めるところによります。

無給の場合が多く、健康保険から分娩の日前42日(多胎妊娠の場合においては70日)、分娩の日以後56日以内で労務に服さなかった期間、出産手当金として1日につき標準報酬日額の60%が支給されます。

労基法は、産前産後の休業について、解雇制限(第19条)、平均賃金の算定(第12条)、年次有給休暇の取得要件で出勤扱い(第39条)などの特別の取り扱いを規定しているにとどまります。

男子雇用機会均等法は、労基法に定める産前産後の休業をしたことを理由とする解雇を禁止しているにとどまります(第11条)。

産前産後の休業を出勤扱いとされるのは、年休の出勤率の計算についてのみであり、昇給、賞与の査定で出勤扱いし、算定期間を満勤した者と同じ昇給、賞与にしなければならない理由はありません。

合理的な査定の範囲なら、欠勤扱いも許されます。

産前産後の休業期間中は、現実に就労しておらず、昇給、賞与の査定で欠勤と同一視しても違法といえないと考えられます。

実出勤日数で査定するため、出産休暇で休業した者が多少の不利となってもやむを得ないものと考えられます。

【平成4年:事例研究より】