休職期間が満了する30日前に解雇予告必要か【平成16年:事例研究より】

トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)

当社の就業規則に、私傷病による欠勤が2ヵ月に及んだとき休職となり、休職期間(1年)が満了しても復職の見込みがないときは退職とする旨が規定されています。

休職期間が満了するとき、その30日前に解雇予告(退職扱いになる旨の通知)をしなければならないのでしょうか。

【熊本・H社】

休職とは、私傷病など労働者側の個人的事情により相当長期にわたり就労を期待し得ない一定の事情が発生した場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間労務の提供を停止させることをいいます。

休職期間中は、労働者は労働義務が免除され、使用者は就業規則などに特段の定めがない限り賃金支払い義務が解除されますが、その場合には労働義務の存在を前提とした年次有給休暇の権利も、これを行使する余地はなくなります。

休職の性格をめぐって、2つの見解があります。

その1は、休職処分は通常はその事故が一時的であり、休職事由が消滅した場合はもちろん、休職期間が満了した場合も復職が予定されているから、使用者が契約の終了を望むならば改めて解雇の手続きをとる必要があるとするものであり、その2は、休職処分は、本来解雇をもって臨むべきところ、労働者側の事情を考慮して一定期間分を存続させておく性格のものであり、休職期間満了までに休職原因が解消していないときは、休職期間満了をもって当然退職(契約の自動終了)となるとするものです。

結局は、労働協約、就業規則で設けた休職制度の規定の仕方や従来の取扱いなどで決まってくるといえます。

就業規則に私傷病休職について、休職期間満了までに休職原因が解消しないときは、休職期間満了をもって当然退職とする旨定めている場合、休職期間満了までその原因が解消しない場合は当然契約が終了するという定めが契約の当初からなされているものですから、一般には、契約の自動的終了事由が定められたものと解し、休職期間満了による契約の終了は解雇ではないと考えられます。

就業規則に「休職期間が満了しても復職の見込みのないときは退職とする」と規定されていますから、休職期間が満了しても病気が治らず、労働能力が回復していなければ、退職扱いできます。

休職期間満了による契約の終了は解雇ではありませんから、その30日前に解雇予告する必要はありません。

1ヵ月くらい前に、「休職期間満了で退職扱いになる」旨通知することは親切なことです。

【平成16年:事例研究より】