土曜休日出勤に対して請求された、年休は認めなければならないか【平成16年:事例研究より】

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業務の都合で休日出勤が必要となり、週給2日制の土曜日に出勤を命じました。

ところが、ある従業員から休日出勤を命じた土曜日に年休をとりたいと年休の請求がありました。

このような場合、その年休を認めなければならないのでしょうか。

年休は労働義務のある労働日に与えるものと理解していますが、休日出勤を命じれば労働義務が生じ、休日でもその日は労働義務のある日(労働日)となり、年休請求も可能となるのでしょうか。

【埼玉・K社】

年次有給休暇は、賃金の減収を伴うことなく所定労働日に休養させるために付与されるものです。

つまり、労働日の労働義務を免除、その賃金を保障するものですから、年休を行使するには、労働義務のある日(労働日)が前提となります。

はじめから労働義務のない休日その他労働義務の課せられていない日には、年休を行使する余地はありません。

就業規則などで休日と定められている日以外の日、つまり労働日に就業しなくても、賃金を受けて休養できることに年休の意義があります。

行政解釈は「所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである」(昭33・2・13基発第90号、昭63・3・14基発第150号)としています。

したがって、休日労働をしたとしても、その休日は全労働日に含まれません。

ご質問は、週給2日制で休日である土曜日に休日出勤を命じれば、その結果、労働義務が生じ、労働日となり、年休の請求が可能になるのではないかという疑問です。

休日は、原則として労働契約において労働義務がないとされている日です。

休日に労働を命じれば労働義務が生じるとしても、休日出勤を命じた日の労働義務は例外的な労働義務で、その休日が労基法第39条にいう労働日になるものではありません。

したがって、休日出勤を命じたとしても、労働者としてはその休日については年休権を行使する余地はなく、使用者としては、その休日に年休を与える必要はない(できない)ことになります。

休日出勤を命じても、その休日に年休を与えることができない結果、休日出勤に応じられない理由が真にやむを得ないと認められる場合には、その者に限り休日出勤命令を撤回あるいは休日出勤を免除したという処理になります。

その者は休日として休むことになります。

【平成16年:事例研究より】