保険治療をうけていた社員が退職、喪失後の保険治療を任意継続、継続療養の選択は自由か【平成4年:事例研究より】

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健康保険では、退職して被保険者の資格を喪失した場合、他社で再び被保険者になるまで、継続申請して資格を延長することができる任意継続被保険者の制度がありますが、退職の際に病院にかかっていた場合でも、その治療を健康保険で引き続き受ける目的で任意継続被保険者になることができますか。

在職時から病気にかかっている場合でもよいのでしょうか。

【石川T社】

健康保険では、被保険者が資格を喪失した際に、療養の給付(保険診療)を受けている場合には、その病気に限って資格喪失後も継続して保険診療が受けられることになっており、これを資格喪失後の継続療養といっています。

資格喪失後の継続療養を受けるには、被保険者の資格を喪失した日の前日まで継続して1年以上被保険者であったことが必要です1年以上継続して被保険者であった期間を有していない場合には、健康保険の資格喪失後の継続療養を受けることはできません。

一方、資格喪失後再びどこかの会社に勤めるまでの間に、万一の傷病に備えて健康保険の被保険者になりたいという方には、原則として2年間に限って健康保険に加入できる制度があります。

これを任意継続被保険者の制度といいますが、この任意継続被保険者になるためには次の条件が必要とされています。

1.被保険者資格を喪失したこと 2.資格喪失の日の前日まで継続して2ヵ月以上被保険者であったこと 3.資格喪失の日から20日以内に任意継続被保険者になることを申請すること 任意継続被保路者の資格取得は、任意継続加入の条件を満たし、適法な申請が行われれば、保険者は必ず受理しなければならず、加入の動機や目的について判断し、加入の可否を決めることはできません。

したがって、在職中に病気にかかり、その病気の治療が目的であっても、資格喪失の日の前日まで2ヵ月以上の被保険者期間と法定期間20日以内の申請という条件を満たす限り、任意継続被保険者となることができます。

任意継続被保険者になりますと、保険給付については一般の被保険者と何ら変わりません。

継続して被保険者になるわけですから、在職中にかかっていた病気(任意継続被保険者となる前の病気)についても給付が受けられます。

保険料は、事業主の負担がありませんので、全額自己負担しなけれぱなりません。

【平成4年:事例研究より】