月間50時間で三六協定を結ぶ。土曜休日や祝祭日の出勤も協定時間に算入されるか【平成4年:事例研究より】

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時間外協定(三六協定)の解釈についておたずねします。

当労働組合は会社と1ヵ月の時間外協定を50時間以内と協定しています。

1日実働8時間を超える部分について、月間50時間以内ですが、土曜休日および祝祭日に休日勤務として出勤することがあり、会社はこの休日勤務は月50時間に算入しないとしていますが、50時間の制限に入れるべきでないでしょうか。

この点の解釈についてお教えください。

【大阪・T労組】

労基法上の時間外労働とは、法定労働時間である1週44時間(猶予事業は46時間)、1日8時間を超える労働です。

変形労働時間制を採用している場合を除き、1週44時間(または46時間)を超えて労働させた時間が時間外労働となります。

時間外・休日労働をさせるには、労基法第36条の協定(三六協定)が必要なわけですが、就業規則で定められた労働時間を延長する場合であっても、法定労働時間を超えない限り、三六協定を必要としません。

たとえば完全週休2日制をとり毎労働日の労働時間を7時間と定めている場合、1日の労働時間を1時間延長しても1日8時間、週44時間以内ですから、三六協定を締結する必要はありません。

また、三六協定を必要とする休日労働とは、労基法第35条に規定されている1週1回または4週4日のいわゆる法定休日の労働です。

法を上回って与えられている国民の祝日、週休2日の休日のうち1日のみを出勤させる場合にも、1週間の労働時間が44時間以内となるのであれば、三六協定を必要としません。

したがって、法を上回って与えられている週休2日制による土曜休日、祝祭日の休日に労働させても、その日の労働は休日労働に該当しません。

また、その日に労働させても、法定労働時間の範囲内であれば、時間外労働にも該当しません。

しかし、法定休日以外の休日の労働が8時間を超えれば、その超えた時間が時間外労働となります。

1日8時間以内であっても、その日を働かせることによって週の法定労働時間を超えれば、超えた時間が時間外労働となります。

行政解釈は「法第35条の休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払いを要するから念のため」(昭23・4・5基発第537号、昭63・3・14基発第150号)としています。

ご質問では、1日の所定労働時間が明らかではありませんが、たとえば8時間であるとすれば、土曜休日に出勤させれば、その週の労働時間は48時間(8時間×6日)となり、週44時間を超えた4時間が時間外労働となります。

猶予事業の場合は、週46時間を超えた2時間が時間外労働となります。

この4時間(または2時間)は、三六協定の1ヵ月50時間の中にカウントしなければなりません。

「休日勤務として出勤することがあり」とあり、土曜休日、祝祭日の休日にも、休日出勤として割増賃金が支払われているようですが、割増賃金が支払われていても、その勤務時間のすべてが労働組合のお考えのように時間外労働となるものでありません。

また、会社のいうように土曜休日は、祝祭日の休日の出勤によっても、週の法定労働時間を超えない場合は、三六協定の月50時間に算入する必要がないわけですが、週の法定労働時間を超えることになれば、やはり時間外労働として、月50時間に算入しなければなりません。

【平成4年:事例研究より】